「英語脳を作れば、一瞬で英語が出てくるようになります!」
そんなキャッチコピー、英語教材やアプリの広告で見かけたことはありませんか?
でもちょっと待ってください。
英語脳って、そもそも何のことなんでしょうか?
本当に“脳が切り替わるスイッチ”があるのでしょうか?
実は「英語脳」という言葉は、学術的な専門用語ではありません。
ただし、多くの学習者が「日本語を介さずに英語を理解・表現できる状態」をイメージして使っているのも事実です。
本記事では、
- 英語脳の正体(実は“脳科学の魔法”ではなく、処理の自動化のこと)
- 英語脳がないときの特徴
- 英語脳を育てる具体的なステップ
をわかりやすく解説します。
「広告で聞いたけど正直よくわからない」という方も、読み終わる頃にはスッキリ理解できるはずです。
英語脳とは?

「英語脳」という言葉は、残念ながら学術的な専門用語ではありません。
教材や広告のキャッチコピーとして広まり、「英語を英語のまま理解できる状態」を指す便利な言い回しになっています。
では具体的にどんな状態を指すのでしょうか?
一般的に言われる「英語脳」
- 英語を聞いたり読んだりしたときに、日本語に訳さずに理解できる
- 話すときも、日本語で文章を組み立ててから英訳するのではなく、直接英語が口から出る
👉 つまり 「日本語を介さずに英語を処理できる状態」 のこと。
脳科学・言語学的に近い概念
第二言語習得研究では「英語脳」という言葉の代わりに、
- 処理の自動化(automatization)
- 流暢性(fluency)
と呼ばれるプロセスで説明されます。
人間の脳は新しいスキルを習得するとき、最初は意識的に処理をしますが、繰り返すうちに無意識でできるようになります。
例えば、自転車に乗るとき最初は「ペダルに足を置いて、バランスを取って…」と考えますが、慣れると無意識に体が動くようになるのと同じです。
英語も同じで、最初は「英単語 → 日本語 → 意味」という変換をしますが、練習を重ねると「英単語 → 意味(イメージ)」に直接つながる。
これが多くの人が「英語脳」と呼んでいる状態なのです。
具体例
- 日本語脳モード
“apple” → 「りんご」→ 果物のことか、と理解 - 英語脳モード
“apple” → りんごのイメージが直接頭に浮かぶ🍎
英語脳がない状態の特徴
「自分にはまだ英語脳ができていないな」と感じるとき、どんなサインがあるのでしょうか?
以下のような症状が当てはまるなら、まだ日本語を介した処理に頼っている可能性が高いです。
① 英語を聞くとすぐに日本語訳を探してしまう
- “apple” と聞いて、まず「りんご」と日本語に変換してしまう
- 結果、会話のスピードに追いつけず「理解が一歩遅れる」
② 話すときに日本語で考えてから英訳している
- 「私は昨日友達に会った」と日本語で文を作ってから英語に変換
- 会話のテンポが遅くなり、「話したいことはあるのに英語が出ない」と焦る
③ 読解はできるが発話になると止まってしまう
- TOEICやリーディングは得意だけど、スピーキングでは口が止まる
- 理由は「頭では理解しているが、英語で反射的に出す回路がまだできていない」から
④ 聞き取れないときに「翻訳できないから」と諦める
- 実際には「文脈」や「単語のイメージ」で推測できるのに、完璧な日本語訳が出てこないと理解できない気がしてしまう
- これは「訳す習慣」に縛られているサイン
💡 まとめると
- 英語脳がないと、常に「英語 → 日本語 → 理解」の2段階処理になり、スピードが追いつかない
- その結果、会話がぎこちなくなったり、自信が持てなかったりする
👉 逆に言えば、この変換をショートカットできるように練習すれば、「英語脳」に近づけるのです。
英語脳を育てるステップ
英語脳は一夜でできるものではなく、段階的に育てていく必要があります。
ここでは、日本語に頼らずに英語を理解・発話できるようになるための具体的な5つのステップを紹介します。
① 日本語を介さないインプット
- やること:英語を見聞きしたときに、日本語訳を頭の中で作らず「イメージ」で理解する練習をする
- 方法:
- レベルに合った簡単な多読(英語絵本・Graded Readers)
- 多聴(ポッドキャストやYouTubeの英語チャンネル)
- 英語字幕で映画やドラマを観る
- コツ(ここが大事!):
- 単語を聞いたときに 日本語に直すのではなく、映像や状況を頭に思い浮かべる
- “dog” → 「犬」という日本語を思い出すのではなく、犬が走っている姿をイメージ
- “delicious” → 「美味しい」ではなく、食べて笑顔になるシーンを思い浮かべる
- 動画や写真付きの教材を使うと、この「イメージ直結」がやりやすい
- 単語を聞いたときに 日本語に直すのではなく、映像や状況を頭に思い浮かべる
- ポイント:難しすぎる素材だと結局日本語に頼ってしまうので、7割理解できるレベルを選ぶのが成功のコツ。

単語単位だとスッとイメージが浮かぶと思いますが、
これがセンテンス化するといきなりハードルが上がる人は
簡単なセンテンスから取り組むといいです。
肯定文だけでなく、否定や疑問文もしっかりとやってみましょう。
② 瞬発的なアウトプット練習
- やること:日本語で考えずに、英語を反射的に口から出す練習をする
- 方法:
- コツ:
- 即答を優先する:「正しく言おう」と考えると、日本語を経由してしまう
- 例)“What did you do yesterday?” → 「えーと… I went shopping.」くらいで十分
- 間違えても止まらない:英語脳は“反射回路”なので、黙るより適当にでも返す方が効果的
- 短時間でも毎日:1日5分でも「即答の習慣」をつけることがカギ
- 即答を優先する:「正しく言おう」と考えると、日本語を経由してしまう
③ フレーズの自動化(パターン練習)
- やること:よく使う定型表現を“考えなくても口から出る”状態にする
- なぜ必要?
英語脳に必要なのは「知っていること」ではなく「使えること」。
日本語を介して「えっと…これは…」と考えているうちは会話が止まる。
フレーズを反射で出せるようにすると、会話が流れるようになる。 - 方法:
- 瞬間英作文トレーニング
- 日本語を見てすぐ英語にする練習
- 例)「私はコーヒーを飲みます」→ “I drink coffee.”
- ポイントはシンプルな文でスピード優先
- おすすめアプリは「トーキングマラソン
」
- シーン別フレーズの繰り返し
- 自己紹介・電話応対・会議など、よく出る場面を決めて練習
- 例) “Let’s get started.”(会議開始)
“Could you speak up a little?”(聞き返し)
- ロールプレイ形式
- 実際の会話を想定して何度も同じやり取りを繰り返す
- AIやオンライン英会話を利用すると効率的
- 瞬間英作文トレーニング
- コツ:
- 同じフレーズを10回、20回と口に出す
- 意味を毎回考えなくても自然に出てきたら「自動化成功」
- 新しいフレーズよりも「よく使うフレーズ」を優先する
④ 実戦シミュレーション
- やること:実際の会話に近い環境で、即座に英語を使う経験を積む
- なぜ必要?
シャドーイングや瞬間英作文でフレーズを覚えても、実際の会話では相手の反応が予測不能。
「考えてから話す」ではなく「反応しながら話す」経験を積まないと、英語脳は完成しない。 - 方法:
- AI英会話でシナリオ練習
- オンライン英会話でロールプレイ
- Bizmates(ビズメイツ)
, DMM英会話
などを利用
- 「会議の進行役をやってみたい」「自己紹介から始めたい」とリクエストすれば実戦形式で練習可能
- Bizmates(ビズメイツ)
- 言語交換やMeetupでの実地練習
- 対面やオンラインでネイティブと会話
- 「間違えても相手が返してくれる」リアルなやりとりで反射力が磨かれる
- コツ:
- 「テーマを一つ決めて臨む」
- 例:今日は「自己紹介のバリエーション」だけに集中
- 例:今日は「相手の意見を聞き返すフレーズ」を多用する
- 全部完璧にしようとせず、小さな成功体験を積み重ねる
- 「テーマを一つ決めて臨む」
⑤ 習慣化で定着
- やること:毎日少しずつでも「日本語を介さない時間」を積み重ねる
- なぜ必要?
英語脳は一夜にしてできるものではありません。
脳は繰り返しで神経回路を強化していくため、短くても毎日の継続が最大のカギになります。 - 方法:
- 朝の5分シャドーイング
- 起きてすぐに音声を真似る → 脳を英語モードに切り替える
- 通勤・通学のリスニング
- ポッドキャストやYouTubeを聞き流す → インプットを習慣化
- 夜寝る前のワンフレーズAI英会話
- Speakやスピークバディで1問だけ答える
- 「1日を英語で締める」ことで無理なく続く
- 朝の5分シャドーイング
- コツ:
- 完璧より継続:「今日は5分しかできなかった…」でもOK
- 習慣化のトリガーを作る(朝コーヒー飲みながらシャドーイング/電車に乗ったらアプリ起動など)
- 記録を可視化:アプリの学習時間ログや手帳で「継続」を見える化するとモチベが保てる
💡 まとめると
- 英語脳は「魔法」ではなく「習慣の積み重ね」
- 毎日の小さな反復が、やがて日本語を介さない処理回路を作る
- “短時間×毎日”が最強の武器
よくある誤解
「英語脳」という言葉が広告やSNSで独り歩きしているせいで、学習者が誤解してしまうケースも多いです。
ここでは代表的な3つの誤解を取り上げて、正しい理解にアップデートしましょう。
❌ 誤解①:テキストを読むだけで英語脳ができる
- NG理由:テキストを読むとき、多くの人は日本語に訳す習慣が抜けません。
- 実際は:英語脳を作るには「音声+瞬発アウトプット」が必要。テキストは補助として使うもの。
💡 例)
“dog” を見て「犬」と訳す → 日本語経由
犬が走る姿をイメージする → 英語脳的な処理
❌ 誤解②:単語帳を完璧に覚えれば英語脳になる
- NG理由:知識として覚えても、それを瞬時に使えなければ会話では役立たない。
- 実際は:フレーズや表現を「反射的に使える状態」にして初めて英語脳につながる。
💡 例)
「明日会いましょう」
- 日本語から英訳 → “Let’s meet tomorrow.”(遅い)
- フレーズが自動化 → 反射的に “Let’s meet tomorrow.”(速い)
❌ 誤解③:英語脳は才能がある人だけが持てる
- NG理由:バイリンガルや帰国子女しか英語脳を持てないと思われがち。
- 実際は:神経回路は誰でも反復で強化される。毎日の習慣で大人でも英語脳は作れる。
💡 自転車の例:
最初はバランスを崩しても、練習を重ねれば誰でも乗れるようになる。英語脳も同じ。
まとめ
「英語脳」という言葉は魔法のように聞こえますが、その正体は決して特別なものではありません。
それは 日本語を介さずに英語を直接理解・表現できるようになる“処理の自動化” のことです。
この記事で紹介したステップを振り返りましょう:
- 日本語を介さないインプット:単語を日本語に訳さず、映像や状況をイメージする
- 瞬発的なアウトプット練習:シャドーイングやAI英会話で反射的に返す
- フレーズの自動化:よく使う表現を繰り返し口に出し、考えなくても出てくる状態にする
- 実戦シミュレーション:AIやオンライン英会話でリアルなやり取りを経験する
- 習慣化で定着:毎日の短い練習を積み重ね、脳に回路を刻み込む
こうして少しずつ積み上げれば、誰でも英語脳に近づくことができます。
大切なのは、**「英語脳=特別な才能」ではなく「日々の習慣」**だと理解すること。
魔法のように一瞬で切り替わるスイッチはありませんが、繰り返しと工夫で必ず体感できます。
👉 今日からできる小さな一歩として、
- 朝5分のシャドーイング
- 寝る前のワンフレーズAI英会話
- 通勤時間の英語ポッドキャスト
など、“毎日少し” を取り入れてみてください。
続けるうちに、「気づいたら日本語を介さずに理解できていた」という瞬間が訪れるはずです。
そのときが、あなたの英語脳が芽生えたサインです。
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