「灰の水曜日」って聞いたことありますか?
「イースターは知ってるけど、その前に灰の水曜日?なにそれ?」と思ったことはありませんか?
キリスト教の暦では、イースターの前にLent(レント/四旬節)と呼ばれる40日間の節制期間があります。そのスタートとなるのがAsh Wednesday(灰の水曜日)です。今回は、灰の水曜日の意味や文化的背景、英語での表現を紹介します!
「灰の水曜日」ってどんな日?

灰の水曜日は、イースターの46日前(※日曜日を除くと40日)の水曜日。多くのキリスト教徒が、この日からレントに入り、食事を控えたり、生活の中で何かを節制する期間を過ごします。
教会では、この日に「灰の儀式」が行われ、司祭が信者の額に灰で十字を描きます。これは、「人は塵から生まれ、塵に帰る」という謙虚さと悔い改めを象徴しています。この灰は前年の棕櫚(しゅろ)の葉を燃やしたものを使用するのが伝統です。
灰は何を意味するのか?(Symbolism of Ashes)
「灰(ash)」には、キリスト教の伝統の中で大きく3つの意味があります。
🔹 1. 悔い改め(Repentance)
「灰をかぶる(to cover oneself in ashes)」という表現は、自分の罪を認め、悔い改めることを意味します。これは旧約聖書にも登場する習慣で、例えばヨナ書では、ニネベの人々が罪を悔い改めるときに**「灰をかぶり、粗布をまとった」**と書かれています。
📖 “I repent in dust and ashes.” (私は塵と灰の中で悔い改めます。)— ヨブ記 42:6
➡ キリスト教では、この伝統を受け継ぎ、灰を額につけることで「神の前で謙虚になる」という意味を持たせています。
🔹 2. 死と人間のはかなさ(Mortality & Humility)
灰は「人間がいずれ死ぬ存在であること」を思い起こさせるものです。聖書にはこんな言葉があります。
📖 “Remember that you are dust, and to dust you shall return.” (あなたは塵であり、塵に帰ることを忘れるな。)— 創世記 3:19
この言葉はアダムがエデンの園を追放されるときに言われたものですが、現代の「灰の水曜日」の儀式でも、司祭がこの言葉を唱えながら信者の額に灰をつけます。
➡ 「自分は永遠に生きるわけではない」と認識し、人生を大切にすることを思い出す日でもあるのです。
🔹 3. 浄化と新たな始まり(Purification & Renewal)
灰は「燃え尽きたもの」ですが、同時に「新しいものが生まれるための始まり」でもあります。たとえば、火山の灰は土地を肥沃にするように、灰には「浄化」と「再生」の意味もあると考えられています。
また、「灰の水曜日」の灰は、前年の「棕櫚の主日(Palm Sunday)」に使われた葉を燃やして作るのが伝統です。これは、過去の栄光(イエスがエルサレムに迎えられた日)を手放し、心を新しくするというメッセージでもあります。
断食ってどれくらい厳しいの?

「レント期間は断食!」と聞くと、かなり厳しそうに感じますが、実は宗派や地域によって異なります。
🍽 どんなルールがあるの?
- カトリックでは、灰の水曜日と聖金曜日は食事の回数を減らすのが一般的。
- 肉を控えるのが伝統的な習慣。ただし魚はOKなので、**Fish Friday(魚の金曜日)**という文化が生まれました。
- 最近では、チョコレートやお酒、SNSを控えるなど、食以外のことを節制する人も。
🗣 会話で使える英語表現
- “I’m giving up sweets for Lent!”(レントの間、お菓子をやめるよ!)
- “Catholics avoid eating meat on Ash Wednesday.”(カトリックの人は灰の水曜日に肉を食べないことが多い。)
実はお祭りとも関係がある?

灰の水曜日の前日は、世界的に有名なお祭り**「マルディグラ(Mardi Gras)」があります。これはフランス語で「Fat Tuesday(太った火曜日)」**という意味。レントの節制が始まる前に、思いっきり食べて楽しもう!という日です。
🎭 マルディグラの特徴
- ニューオーリンズ(アメリカ)では大規模なパレードが開催。
- ブラジルのリオのカーニバルも同じ流れで生まれた祭り。
- イギリスでは「パンケーキ・デー」として親しまれている。
🗣 会話で使える英語表現
- “Mardi Gras is the last big celebration before Lent starts!”(マルディグラは、レントが始まる前の最後の大きなお祭り!)
英語での表現も学ぼう!
「灰の水曜日」に関する英語表現をいくつか紹介します。
🟢 Turn to ashes – 灰になる(=すべてを失う)
🔹 “All his dreams turned to ashes.”(彼の夢はすべて灰になった。)
🟢 Ashes to ashes, dust to dust – 人間のはかなさを示す言葉
🔹 “At funerals, people often say, ‘Ashes to ashes, dust to dust.’ “(葬儀ではよく「灰は灰に、塵は塵に」と言われる。)
🟢 Wear sackcloth and ashes – 深く反省する(旧約聖書由来の表現)
🔹 “He wore sackcloth and ashes after his mistake.”(彼は自分の過ちを深く反省した。)
灰の水曜日を英語で説明してみよう!
キリスト教文化圏の人と話していて、「灰の水曜日って何?」と聞かれたら、こんなふうに説明できます。
📢 シンプルな説明
- “Ash Wednesday marks the beginning of Lent, when Christians prepare for Easter through fasting and prayer.” (灰の水曜日は、キリスト教徒がイースターに向けて断食や祈りをするレントの始まりです。)
- “On this day, some Christians receive ashes on their foreheads as a sign of repentance.” (この日、一部のキリスト教徒は悔い改めのしるしとして額に灰をつけます。)
📢 もっと会話っぽく
- “You might see people with ashes on their foreheads today. It’s Ash Wednesday, the start of Lent!” (今日は額に灰をつけた人を見かけるかも。灰の水曜日で、レントの始まりなんだよ!)
まとめ
✅ 「灰」は、悔い改め・人間のはかなさ・新たな始まりを象徴する
✅ 旧約聖書から続く伝統であり、四旬節の準備のために使われる
✅ 「あなたは塵であり、塵に帰る(You are dust, and to dust you shall return)」という言葉とともに額につけられる
灰の水曜日は、キリスト教の大事な節目となる日で、そこから40日間の節制が始まります。断食のルールはさまざまですが、肉を控える文化やマルディグラとの関係など、英語圏の習慣を知ると会話の幅も広がります!
画像や動画を見ながら単語が学べるので
ネイティブがどう使っているか同時に分かる!