2024年のUSCPA(米国公認会計士)試験制度改定により、受験構造は大きく変わりました。
必須科目に加えて選択科目が導入され、その中の一つとして登場したのが ISC(Information Systems and Controls:情報システムと統制) です。
会計資格の試験でありながら、IT統制やシステムリスク、サイバーセキュリティといったテーマを正面から扱うこの科目について、「自分に向いているのか」「本当にキャリアに活きるのか」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、特に IT領域に一定の経験がある方 に向けて、
ISCという科目がどのような位置づけにあり、どのような人にとって合理的な選択になり得るのかを、できるだけ冷静に整理していきます。
1. なぜUSCPAにISCが加わったのか
今回の制度改定は、「会計士に求められる役割の変化」をそのまま反映したものだと考えられます。
現在の企業会計は、ほぼすべてがITシステムの上で成り立っています。
売上、原価、在庫、固定資産、決算処理――その多くはERPや周辺システムを通じて処理され、最終的な財務情報が生成されます。
つまり、
会計数値の正確性は、
その前提となる システムと統制の健全性 に強く依存している
という状況です。
ISCは、この前提部分を評価・理解できるかを問う科目だと言えます。
単なる「IT知識」ではなく、財務報告と結びついたIT統制・リスク管理がテーマになっています。
2. ISCは「最強」なのか?──誤解しやすいポイント
ネット上では、ISCについて「最強科目」「これを選べば勝ち」といった表現を見かけることもありますが、ここは少し冷静になる必要があります。
ISCが有利に働きやすいのは、次の条件が重なった場合です。
- IT・システムに関する業務経験がある
- 監査・内部統制・ガバナンス領域に興味がある
- USCPA取得後のキャリアで、IT監査やITコンサルを視野に入れている
これらに当てはまらない場合、必ずしもISCが「最適解」になるとは限りません。
一方で、条件が合致する人にとっては、試験内容と実務の距離が比較的近いという意味で、取り組みやすい科目であるのは確かです。
3. ISCの試験内容と難易度の実際
計算問題はほとんど出ない
ISCの特徴としてよく挙げられるのが、「計算問題がほぼない」点です。
試験では以下のような内容が中心になります。
- IT全般統制(ITGC)
- アクセス管理、変更管理
- データの完全性・可用性
- サイバーセキュリティとリスク対応
- 業務プロセスとシステムの関係性
問われるのは、「適切かどうか」「リスクは何か」「どの統制が妥当か」といった判断型の問題です。
FARやBARのような数値処理が苦手な方にとっては、心理的なハードルは低めと言えるでしょう。
合格率が比較的高い理由
ISCの合格率は、他の選択科目と比べると高めで推移しています。
ただしこれは「簡単だから」というよりも、
- 受験者層が比較的絞られている
- IT経験者が多く、前提知識を持っている
といった背景が大きいと考えられます。
誰にとっても楽な科目、という意味ではありません。
4. IT経験者にとっての相性の良さ
ITエンジニアやシステム関連業務の経験がある方にとって、ISCは「内容が理解しやすい」科目です。
たとえば、
- アクセス権限管理
- 変更管理フロー
- バックアップや障害対応
- ログ管理や監査証跡
これらは、実務で一度でも関わったことがあれば、概念自体は難しくありません。
試験では、それを 英語+監査的視点 で整理し直す作業になります。
ゼロから概念を理解するのではなく、「言語化と整理」が中心になる点は、学習効率に影響します。
5. キャリアとの関係──年収の話をどう捉えるか
ISCに関連して「年収1,000万円」という話題が出ることがありますが、ここも誤解が生まれやすいポイントです。
資格そのものが年収を保証することはありません。
ただし、以下のようなケースでは、年収レンジが上がりやすい傾向はあります。
- IT監査・ITリスク領域での専門性が評価される
- 監査法人やコンサルでの昇進スピードが上がる
- 「IT×会計×英語」という組み合わせが希少
つまり、ISCは キャリアを限定する資格 ではなく、
特定の方向に進む人にとっての補助線 だと考える方が現実的です。
6. 学習面での現実的な課題と対策
ISCは会計計算が少ないとはいえ、USCPA全体としては会計知識が避けて通れません。
そのため、ITバックグラウンドの方ほど、
「会計の入り口をどう越えるか」
が重要になります。
ここで日本人受験生にとって現実的な選択肢になるのが、
アビタスのような、日本語ベースで会計の基礎を補える予備校です。
学習ロードマップの一例
- 会計入門(日本語)で基礎用語と構造を理解
- FARで財務会計の全体像を把握
- AUDで内部統制・監査の考え方を学ぶ
- ISCでIT統制を整理・統合する
この流れは、IT経験者にとって比較的無理が少なく、途中で挫折しにくい構成です。
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7. まとめ:ISCは「刺さる人には刺さる」科目
ISCは、誰にとっても万能な選択科目ではありません。
しかし、
- IT経験があり
- ガバナンス・監査・リスク領域に関心があり
- USCPA後のキャリアを実務ベースで考えたい人
にとっては、非常に合理的な選択肢になります。
煽り文句で決める必要はありません。
自分のこれまでの経験と、これから進みたい方向を照らし合わせたとき、
ISCが「自然にフィットするかどうか」を判断すれば十分です。
USCPAは短距離走ではなく、中距離走です。
だからこそ、派手さよりも“続けやすさ”と“納得感”を基準に選ぶことが、結果的に一番強い戦略になります。


