2024年1月に導入されたUSCPA(米国公認会計士)の新試験制度は、多くの受験生にとって「4科目目」の選択を迫る大きなターニングポイントとなりました。必須の3科目に加え、BAR、ISC、TCPの3科目から1つを選ばなければなりません。
「どれを選べば合格しやすいの?」
「私のキャリアに一番役立つのは?」
新制度から1年以上が経過し、ついに3つの選択科目の難易度と合格率に明確な「格差」が生じました。本記事では、2025年の最新データに基づき、各科目の特徴、難易度、そしてあなたの学習背景に合わせた最適な選択肢を解説します。
1. 難易度を分けた最新データ:2025年選択科目合格率のリアル
新試験制度導入当初は、どの科目が有利か手探りの状態でしたが、2025年Q1・Q2(第1・第2四半期)の公式データから、各科目の難易度傾向がはっきりと見えてきました。
科目名 | 正式名称 | 2024年累計 合格率 | 2025年Q1-Q2 平均合格率(速報) | 難易度傾向 |
TCP | Tax Compliance and Planning | 73.91% | 約78.57% | 最も高い(易化傾向) |
ISC | Information Systems and Controls | 58.00% | 約68.69% | 中程度(安定・上昇傾向) |
BAR | Business Analysis and Reporting | 38.08% | 約43.32% | 最も低い(難化傾向) |
(出典:AICPA/NASBA公表データに基づく。2025年Q2データは速報値を含む)
この結果から、戦略的な選択科目の検討は、もはや合格を左右する最重要ポイントであることがわかります。
【考察】合格率の「格差」が示すこと
- TCPの「飛び抜け」た合格率:
- 選択科目の中で唯一70%台後半という高合格率を記録しており、「最短合格を目指すならTCP一択」という流れができています。
- BARの予想外の難化:
- 旧FARや旧BECの知識が活かせると当初は受験生に人気でしたが、合格率は最も低い結果に。特に高度な会計処理や管理会計の応用が出題され、ボリュームと難易度の両面で厳しいことが証明されました。
- ISCの存在感:
- IT知識が求められますが、合格率は着実に60%台後半まで上昇。IT分野の専門知識があれば、十分に合格を狙える科目です。
2. 詳細比較:あなたの学習背景に合う最適解はどれ?
合格率だけでなく、各科目の出題範囲、学習ボリューム、必須科目との関連性を総合的に判断することが重要です。
🥇 難易度【低】・効率性【高】:TCP(Tax Compliance and Planning)
科目の特徴と具体的な出題範囲
関連する必須科目 | 学習ボリューム(目安) | 主な出題分野 |
REG(税法及び商法) | 3科目の中で最も少ない(BARの約半分という声も) | 個人の税務遵守と計画(30~40%)、事業体(法人など)の税務遵守と計画、財産取引、贈与税、個人の財務計画など。 |
✅ TCPが最適なのはこんな人
- 必須科目REGの学習が順調に進んでいる人。
- 「ボリュームを抑えて最短合格したい」という戦略的な目標を持つ人。
- 将来的に国際税務やファイナンシャルプランニングに関わりたい人。
TCPはREGの応用であるため、REG合格後にすぐに学習を始めることで、知識の定着度が高いまま効率よく進められます。
🥈 難易度【中】・専門性【高】:ISC(Information Systems and Controls)
科目の特徴と具体的な出題範囲
関連する必須科目 | 学習ボリューム(目安) | 主な出題分野 |
AUD(監査及び証明業務) | 中程度 | 情報セキュリティ、ITガバナンス、システムインプリメンテーション、データ分析とIT統制、IT監査など。 |
✅ ISCが最適なのはこんな人
- ITパスポートや基本情報技術者試験などのIT系資格を持つ人。
- IT監査やシステムリスク管理など、テクノロジー分野のキャリアを志向する人。
- 英語学習でIT関連の専門用語に慣れている人(非会計分野で差別化しやすい)。
ISCは、今後のAI時代においてCPAに求められるデジタルスキルを試す科目です。合格率は上昇傾向にあり、IT分野の知識があれば十分に狙い目です。
🥉 難易度【高】・範囲【広】:BAR(Business Analysis and Reporting)
科目の特徴と具体的な出題範囲
関連する必須科目 | 学習ボリューム(目安) | 主な出題分野 |
FAR(財務会計) | 3科目の中で最も多い | 高度な財務会計(収益認識、リース会計、デリバティブなど)、州・地方公共団体会計、管理会計・原価計算、予算編成、企業リスクマネジメント(COSO ERM)など。 |
✅ BARが最適なのはこんな人
- 会計・財務分野での実務経験が豊富で、会計知識を深めることがキャリアに直結する人。
- FARの学習範囲に抵抗がなく、簿記1級などのハイレベルな会計知識がある人。
- 「旧BECの知識があるから」という理由だけで選ぶのは危険です。出題範囲が広範で、難易度が非常に高いため、覚悟が必要です。

とはいえ、諦めることもないと思います。
東大やハーバードに入学が超難関だから受験しない人もいれば
頑張って受験して合格する人もいるのです。
将来のキャリアパスを想像しながら考えてみるといいかなぁと思います。
3. 失敗しない選択のために:予備校の対応状況を考慮する
選択科目を決める上で見落とされがちなのが、予備校の教材とサポート体制です。特に新制度では予備校によって対応状況や推奨科目が分かれています。
予備校名 | 選択科目への主なアプローチ | 検討すべきポイント |
TAC | TCPを強く推奨。REGとTCPの教材が一体化しており、極めて効率的な学習が可能。 | TCPを選択する場合、学習効率は最も高くなるが、ISCやBARの学習環境は他校に劣る場合がある。 |
アビタス | 3科目全てに対応。幅広い選択肢から選びたい受験生に支持されている。 | 全ての選択肢が選べる柔軟性がある。自分のキャリアプランに合わせて自由に選択したい人向き。 |
CPA会計学院 | 新制度への迅速な対応と手厚いサポートに定評。TCPなど合格率の高い科目に教材の重点を置く傾向あり。 | 最新の試験動向と教材の質を重視したい場合に適している。 |
最短で合格を勝ち取るための第一歩!
選択科目決定は、あなたの学習効率と合格時期を大きく左右します。「なんとなく」で決めてしまうと、遠回りになりかねません。あなたの学習背景と目標に最適な予備校を見つけることが、合格への最短ルートです。
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予備校名 | おすすめの層 | アフィリエイトリンク |
アビタス | 全ての選択肢を検討し、柔軟に決めたい方。豊富な合格実績重視。 | [アビタスの無料資料請求はこちら] |
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4. グローバルキャリアへの影響と専門知識の活用
USCPA試験合格は、単なる資格取得ではなく、あなたのキャリアとビジネススキルを国際水準に引き上げることを意味します。特に、資格取得を通じて身につく専門知識を英語で使いこなす力は、グローバル市場で大きな武器となります。
専門知識を活かす「ビジネス英語」の習得
USCPA試験は全問英語で出題されるため、学習プロセスそのものが高度な専門英語(ビジネス英語)の訓練となります。特に選択科目では、単なる日常会話ではなく、各分野特有の専門用語を正確に理解し、使いこなす力が求められます。
選択科目 | 求められる専門英語の例 | 習得できるスキル |
TCP | 税法の条文特有の厳密な表現、個人の財務計画に関する正確な語彙。 | 契約書や法規に基づいた厳密なビジネス文書の読解力。 |
ISC | サイバーセキュリティ、ITガバナンス、クラウドコンピューティングなどの最新IT用語。 | IT分野における最新の専門レポートを理解し、国際的な専門家と議論する力。 |
BAR | 高度な財務分析、管理会計の概念、COSOフレームワークなどのビジネス専門用語。 | 経営層やアナリストとのハイレベルな財務・経営ディスカッション能力。 |
選択科目を決めたら、その分野の英語ニュースや専門レポートを日頃から読み込む「専門知識を英語でインプットする学習」を並行して行うと、試験対策とキャリアアップの両面で非常に効果的です。
選択科目があなたのキャリアパスをどう変えるか
USCPA資格は、どの科目を選んでも「英語力と米国の会計・ビジネス知識を兼ね備えた人材」として高く評価されます。しかし、選択科目によってキャリアの方向性はより具体化し、あなたの専門性を際立たせます。
選択科目 | 主なキャリアパス例 | キャリアへの影響 |
TCP | 国際税務コンサルタント、BIG4税理士法人、外資系企業の税務部門 | 専門性が高く、日本で不足しがちな国際的な税務アドバイザーとしての価値が向上。 |
ISC | IT監査、システムリスクコンサルタント、情報システム部門 | テクノロジー×会計という希少性の高いスキルセットを獲得。デジタル変革期に最も求められる人材。 |
BAR | 財務分析スペシャリスト、経営企画、CFO候補 | 高度な管理会計・財務知識により、経営層に近いポジションでの活躍が期待される。 |
USCPA資格は、外資系企業やグローバル企業への転職、そして年収アップに直結します。選択科目を戦略的に選び、学習を始めることは、あなたのキャリアを大きく変える第一歩となるでしょう。
5. まとめ:2025年、あなたのUSCPA戦略は?
2025年の最新データが示すのは、合格率の高さからTCPが最も効率的な選択肢であるということです。
しかし、最終的な選択は、あなたの「キャリア目標」「現在の学習背景」「確保できる学習時間」の3つの要素を天秤にかけて行うべきです。
判断基準 | おすすめの選択肢 |
とにかく最短で合格したい | TCP (合格率が高い、学習ボリュームが少ない) |
将来、IT監査・リスク管理を専門にしたい | ISC (専門性が高い、今後の需要増が見込まれる) |
高度な財務・管理会計を突き詰めたい | BAR (知識の汎用性が高いが、難易度が高い) |
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