USCPA(米国公認会計士)を目指す方の多くが一度は抱く疑問。
「USCPAの前に日商簿記1級を取ったほうがいいの?」
「そもそも日商簿記1級って必要?」
結論から言えば、
USCPA対策として日商簿記1級を新たに取得する必要はありません。
むしろ“オーバースペック”で、貴重な学習時間を浪費する回り道になるケースが大半です。
ただし、日本の日商簿記学習で培われる知識、特に日商簿記2級レベルの知識は、USCPA試験、とくに FAR や BAR の学習で非常に強力な「加速装置」になります。
この記事では、日商簿記取得者がUSCPA試験で有利になる理由、そして、日商簿記1級を目指すべきかの最適解を、専門性を保ちながら丁寧に解説します。
あなたの学習計画が迷いなく立てられるよう、できるだけ専門的な視点で情報をまとめました。
1. 日商簿記の知識はUSCPA試験でどこまで役立つのか?
USCPA試験は4科目で構成され、それぞれ要求される知識体系が異なります。
- FAR(財務会計)
- AUD(監査)
- REG(税法)
- BAR(ビジネス分析・管理会計) [2024年からのコア科目選択制]
このうち、日商簿記学習との相性がもっとも良いのは FAR と BAR(特に管理会計)です。
1-1. 日商簿記の“仕訳力”はFARで圧倒的アドバンテージになる
日商簿記学習で培われる以下のスキルは、FAR(財務会計)の基礎をほぼカバーしています。
- 仕訳の構造理解と処理能力
- 財務諸表のつながりと決算整理の流れ(簿記一巡)
- 有価証券・棚卸資産・固定資産などの認識と測定
とくに日商簿記2級を取得していれば、FARで最初にぶつかる“会計の壁”がほぼ存在しません。会計の基本的な枠組みが日本語で頭に入っているため、英文会計への移行が非常にスムーズになります。
一方、日商簿記1級保持者が有利になるのは以下のような FAR上級論点です。
- 連結会計
- キャッシュフロー計算書
- 退職給付会計
- 税効果会計
これらはFARにも登場しますが、USCPAの出題は日商簿記1級ほど深掘りしません。
よって、1級の知識は確かに強力ですが、USCPA対策としては“深すぎる”のです。学習負担に対する費用対効果が低いというのが専門家の共通認識です。
1-2. 工業簿記・管理会計はBARの基礎を自然に理解できる
日商簿記2級・1級で学ぶ工業簿記/原価計算の知識は、BARの以下の領域で高い親和性を持ちます。
- CVP分析
- 予算管理
- 原価差異分析
- オペレーションマネジメント
特にBARは「分析思考」が問われるため、日本の日商簿記学習による“数値を読む力”がそのまま武器になります。
(※ただし、BARは旧BECに比べテクノロジー(IT)分野の比重が増しており、日商簿記の知識が直接役立つのは管理会計・財務分析分野が中心です。最新のUSCPA試験は簿記知識だけではカバーできない、より広範なビジネス知識が求められています。)
1-3. AUD・REGでは簿記知識の影響はほぼない
ここが重要なポイントです。
日商簿記の知識が活かせるのは、USCPAの試験全体の半分程度です。監査(AUD)や税法(REG)は以下のような特徴があり、簿記学習とはまったく別の“地頭勝負”の世界です。
- AUD: 監査理論、内部統制の概念理解、監査手続など
- REG: 米国税法(個人税・法人税・パートナーシップ税など)、ビジネス法、倫理規定
「簿記で勉強したからREGが楽」ということは起きません。これは日商簿記の“限界”であり、USCPAは会計知識のみに留まらない総合的なビジネス資格である証拠です。
2. 日商簿記1級とUSCPAの難易度比較:どちらが難しいのか?
「日商簿記1級はUSCPAより難しい」という声をよく聞きます。これは誤解ではなく、かなり正確な表現です。ここでは、試験制度の観点から両者を専門的に比較します。
2-1. 難易度の質が違う
| 比較項目 | 日商簿記1級 | USCPA |
| 出題範囲の深さ | 極めて深い(特に連結会計・管理会計) | 広いが深掘りは限定的 |
| 必要学習時間 | 800〜1,200時間 | 1,000〜1,500時間(全科目) |
| 試験制度 | 一発勝負(年2回) | 科目合格制(分割可、18ヶ月有効) |
| 合格率 | 8〜12%程度 | 科目ごとに40〜60% |
日商簿記1級は“一点突破型”であり、ケアレスミスすら許されない超精密な知識が求められます。
一方、USCPAは英語の壁こそあるものの、科目合格制のため、知識を積み重ねやすく、合格までの再現性が非常に高いのが特徴です。
専門学校の講師もよく言います:
「深さで言うなら日商簿記1級、広さで言うならUSCPA」
2-2. 日商簿記1級の「過剰装備」性
つまり、日商簿記1級の計算力・理論力はUSCPA範囲を完全に上回っていると言えます。
- 日商簿記1級: スパルタ型の難関資格(深く、狭く)
- USCPA: 幅広い知識を英文で扱う総合資格(広く、浅く)
この知識の「尖り」こそが、USCPAのためには1級の学習が“深すぎる”、つまり不要である最大の理由です。
3. 日商簿記の知識がUSCPA学習をどう効率化するのか
日商簿記の知識は単なる前提知識以上の価値があります。
3-1. FAR学習時間が半分以下になるケースも
FARは初学者が400〜500時間かかると言われますが、以下の通り大幅な短縮が期待できます。
- 日商簿記2級保持者: 250時間前後に短縮できると言われています。
- 日商簿記1級保持者: 150〜200時間で終わるケースも。
3-2. 心理的ハードルの軽減と実務親和性
“日本語で会計の枠組みができている”という安心感は絶大です。英文での財務諸表作成や仕訳も抵抗なく読めるようになり、会計は日本語で理解してから英語で定着させる方が速いという実務的メリットもあります。
4. USCPAを目指す人は、どこまで日商簿記を取るべきか?
ここが読者が最も気にしている部分です。結論は次のとおりです。
USCPAに必要な簿記レベルは“日商簿記2級まで”。時間がないなら3級だけでも十分。1級は不要、むしろ遠回り。
状況別に最適なルートを見ていきましょう。
■ ケース1:会計初学者で時間がある → 日商簿記3級 → 2級 → USCPA
最もおすすめのルートです。
日本の企業では「日商簿記2級」は今でも評価されやすく、就職面でもプラスになります。
■ ケース2:会計初学者だけど時間がない → 日商簿記3級だけでOK
日商簿記3級で会計の「ルールと流れ」だけを把握できれば、USCPAの学習に十分移行できます。
■ ケース3:財務・経理経験がある → いきなりUSCPA
実務経験がある人はFARの半分以上を既習しています。英語さえクリアすれば最短合格も狙えます。
■ ケース4:USCPAにフルコミットしたい → 日商簿記1級は不要
日商簿記1級は学習負荷が高すぎ、時間効率が悪く、USCPA範囲より深すぎる知識はオーバースペックにしかなりません。

もしあなたが日本で公認会計士(JCPA)とUSCPAという二つの難関資格を目指す(または準ずる)キャリアを想定するなら、「日本の会計の専門家」としての地位を確立するために日商簿記1級を取得することは、強力な武器となるでしょう。
5. 日商簿記を取らずにUSCPAに進む場合の“代替策”
日商簿記に時間をかけたくない人向けに、USCPA界隈で定番の代替策があります。
5-1. USCPA予備校の入門コースを受講する
例えば、アビタス英文会計入門やTAC会計基礎コースなどです。
- 日商簿記2級レベルの内容を、英文会計ベースで高速習得できる超効率ルート。
- USCPAに直結するため、回り道にならないのが最大のメリットです。
5-2. BATICテキストで英語×会計の基礎を固める
BATIC(国際会計検定)テキストは、日商簿記2級レベルの内容を英文で学べるため、USCPAの前提知識として最適です。
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6. 結論:USCPAを目指すなら、日商簿記1級は“必要なし”。2級までで十分。
最後に要点をまとめます。
| 目的 | 推奨する簿記レベル |
| USCPAに最速で合格したい | 日商簿記3級だけでもOK |
| 会計に不安 → 授業で理解したい | 日商簿記2級 |
| USCPAのためだけに1級? | 完全に不要 |
日商簿記はUSCPAの“加速装置”ですが、1級は“過剰装備”です。
🚀 次のステップ:最速でUSCPA学習を開始するために
「簿記に時間をかけたくないが、会計の基礎は不安」という方は、セクション5で紹介した「USCPA予備校の入門コース」が最適解です。
あなたの貴重な時間を、合格に直結する学習に集中投下しましょう。
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