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大人になってからの英語リスニングは「耳コピ」が難しい?

日本人講師のホンネ
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「英語の音を聞き取るのって、子どもの頃からやってないと無理なんでしょ?」
「大人になってからじゃ、英語の耳コピはもうできないって聞いたけど…」

もしあなたがそんな不安を抱えているなら、この記事はきっとあなたの英語学習に対する見方を変えるはずです。

確かに、**「ある一定の年齢を過ぎると、英語の音を完璧に聞き分けるのが難しくなる」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは、言語習得における「臨界期仮説(Critical Period Hypothesis)」**という考え方が背景にあります。子どもが無意識に周りの音を吸収するのに対し、大人はそうはいかない、という側面があるのは事実です。

でも、大人になってからでも、諦める必要は全くありません!
ネイティブとスムーズに会話できるレベルのリスニング力や、必要な音をしっかりと聞き取れる「耳」は、正しい方法と意識的な努力で十分に身につけることが可能です。

では、なぜ大人の英語学習で「耳コピ」が難しいと言われるのか、そして、その「壁」を乗り越えるために何をすれば良いのか、一緒に見ていきましょう。

なぜ大人の「耳コピ」は難しいと言われるのか?

子どもと大人の言語習得には、いくつかの違いがあります。特に英語の「音」の習得においては、大人が直面しやすい課題がいくつか存在します。

1. 母語の「フィルター」が邪魔をする

私たちは、母国語を効率よく聞き取るために、脳の中にその言語に特化した**「音のフィルター」**を持っています。日本語を母語とする私たちの脳は、日本語にない英語の音(例えば、”R” と “L”、”F” と “V”、”th” など)を、意識しないと聞き分けにくい、あるいは日本語の近い音に変換して認識してしまう傾向があります。

子どもの頃はまだこのフィルターが固定されていないため、新しい音もスポンジのように吸収できますが、大人になるとこのフィルターが強固になり、新しい音をそのまま受け入れにくくなるのです。

2. 「無意識の吸収」から「意識的な学習」へ

子どもは、言語を遊びや生活の中で無意識的に、そして自然に吸収していきます。例えば、親の話し方やテレビから流れてくる音を、意味も分からず真似して発音することで、自然と音を習得します。

一方、大人はどうしても「文法」「単語」といったルールや知識を意識的に学ぶことに偏りがちです。音そのものに意識を向ける機会が少なく、**「なぜ聞き取れないのか」「どう発音されているのか」**といった点に深く注目しないまま学習を進めてしまうと、いつまでも音を正確に捉えられない、という状況に陥りやすいのです。

3. 発音器官の慣れ

これは主にスピーキングに関わることですが、聞き取った音を正確に再現する「耳コピ」には、発音の再現力も密接に関わってきます。

長年母語を話してきたことで、私たちの口や舌といった発音器官は、母語の音を出すのに最適な状態になっています。英語特有の音を出すためには、これらの筋肉を鍛え直す必要があります。
耳で聞いた音を認識しても、それを実際に発音しようとすると、慣れない筋肉の動きに戸惑うこともあるでしょう。

諦める必要はなし!大人が「聞ける耳」「真似できる口」を作る方法

これらの課題は、大人が英語の音を習得する上で確かに存在します。しかし、それは決して「できない」という意味ではありません。**大人だからこそできる「戦略的な学習」**を取り入れることで、効率的に「聞ける耳」を育て、「真似できる口」を鍛えることが可能です。

1. 「音」の識別に特化した集中トレーニング

母語のフィルターを突破するためには、意識的に音を区別するトレーニングが有効です。

  • 最小対立ペアの聞き分け: “right” と “light”、”very” と “berry” のように、一音だけが異なる単語のペアを繰り返し聞き比べ、違いを識別する練習を徹底しましょう。
  • 発音記号の理解: 発音記号を学ぶことで、自分が今まで認識していなかった英語の「正しい音」を知ることができます。視覚的に音を理解することで、聞き取りの精度が向上します。
  • フォニックス学習: 英語の音と文字の関係性を体系的に学ぶフォニックスは、特に初心者のリスニング・発音力向上に効果的です。

2. シャドーイングで「聞く力」と「発音する力」を同時に鍛える

前回の記事でも紹介しましたが、シャドーイングは「耳コピ」能力を高めるための最も効果的な方法の一つです。聞こえてきた英語の音を、影(シャドー)のように少し遅れて真似して発音することで、耳で聞いた音を脳が処理し、口で再現するという一連のプロセスを訓練します。

  • 音と意味の連結強化: ただ聞くのではなく、発音することで、音と意味がより強く結びつき、英語を英語のまま理解する「英語脳」の形成を促します。
  • 音の変化を体得: ネイティブが話す際のリエゾン(音の連結)やリダクション(音の脱落)といった音の変化を、自分で発音することで自然と体感し、聞き取りやすくなります。
  • 発音矯正にも効果的: 自分の発音とネイティブの音源を比較することで、自分の弱点に気づき、改善していくことができます。

3. ディクテーションで「聞き取れない部分」をあぶり出す

ディクテーションは、聞こえてきた英語を書き取る練習です。これは、あなたが「どの音を聞き取れていないのか」「どのような音の認識ミスをしているのか」を明確にするのに非常に役立ちます。

ディクテーションは「スペリング・ビー」じゃない!現代における効率的な活用法

ここで、「ディクテーションって、スペルを完璧に書けないと意味がないの?」「スマホやPCで自動変換してくれる時代に、わざわざ手書きでスペルを覚える必要ある?」と疑問に思った方もいるかもしれません。

ディクテーションの目的は、完璧なスペルを覚える「スペリング・ビー」になることではありません。

スペリング・ビーとは?

スペリング・ビー(Spelling Bee)とは、主に英語圏の国々で行われる、単語のスペルを正確に口頭で答える競技会のことです。参加者は出題された単語のスペルをアルファベット一文字ずつ正確に発音して答える必要があり、間違いなくスペルを言えた人が勝ち残っていきます。

この競技は、単語の正確なスペル知識だけでなく、集中力や記憶力も試されるため、子どもたちの語彙力向上や学習意欲を高める目的で学校教育にも取り入れられています。

ディクテーションと混同されがちですが、ディクテーションが「音を聞き取り、文字にする」ことでリスニングの弱点を発見する学習法であるのに対し、スペリング・ビーは「単語のスペル知識を競う」競技である、という違いがあります。

ディクテーションの本当の価値は、「自分がどの音を聞き取れていないのか」を明確にし、「音と文字のズレ」を可視化することにあります。

もちろん、正しいスペルを意識することは単語の定着に役立ちますが、現代の学習においては、以下のように柔軟に考えてOKです。

  • 完璧なスペルは求めすぎない:
    • たとえスペルミスがあっても、聞き取った音を「文字にする」という作業が重要です。まずは音を認識し、それを自分の知っている文字に変換しようとすることが、脳への良い刺激になります。
    • もしスペルが全く分からなくても、カタカナでメモしたり、あいまいなまま書き出したりするだけでも効果はあります。重要なのは「聞き取れた/聞き取れなかった」の境界線を意識することです。
  • デジタルツールをフル活用:
    • 手書きにこだわる必要はありません。PCやスマホのメモ機能、ディクテーション専用アプリなどを活用すれば、タイプ入力で手軽に行えます。自動変換機能は活用しつつ、間違ったときに「なぜ間違ったのか」を意識すれば十分です。
    • AIによる音声認識技術が進化した現代では、自分で書き取る代わりに、音声認識機能で出力された英文と自分が聞き取った内容を比較する、という新しいディクテーションの形も可能です。ただし、その場合も「なぜAIはこう認識したのに、自分は聞き取れなかったのか」という分析は怠らないようにしましょう。

要は、ディクテーションは「音を正確に捉えるための手段」です。スペル入力はその手段の一つに過ぎません。大切なのは、聞こえてくる音に集中し、それを文字情報としてアウトプットするプロセスを通じて、自分のリスニングの弱点を発見し、改善していくことなのです。

4. 積極的な「モノマネ」とフィードバック

憧れの英語話者(俳優、歌手、YouTuberなど)を見つけて、その人の話し方やイントネーション、発音を意識的に真似してみましょう。

  • 自分の発音を録音して、音源と比較してみる。
  • オンライン英会話などで、ネイティブスピーカーの先生に自分の発音をチェックしてもらい、フィードバックをもらう。

客観的な視点を取り入れることで、自分では気づきにくい発音の癖や、聞き取りにくい部分を発見できます。

とりしま
とりしま

他言語を喋る時は別人になれ!というアドバイスを聞いたことはありませんか?
全く違う自分にならなくても『英語をネイティブのように喋る自分』というメンタルを持つと案外スラスラ喋れるようになったりもします。
憧れの英語話者を見つけるのも教材音源からの卒業も含めておすすめです。
ただし、自分のレベルに合わせて選びましょう!

まとめ:大人の英語学習は「戦略的」に、そして「継続的」に!

確かに、子どもと大人の言語習得には違いがあり、大人になってから英語の音を完璧に「耳コピ」するには、意識的な努力が求められます。しかし、それは決して超えられない壁ではありません。

大人の私たちは、脳の特性を理解し、正しい戦略で学習に取り組むことで、着実にリスニング力を向上させることができます。 精聴と多聴のバランス、シャドーイングとディクテーションによる音のトレーニング、そして積極的に音に意識を向ける習慣を身につければ、あなたの「聞ける耳」は必ず育ちます。

「もう遅い」と諦める必要はありません。今日からでも、あなた自身のペースで、英語の「音」の学習にチャレンジしてみましょう!

とりしま

オンライン英会話で日本人講師として活動中。TESL保有。
私自身、英会話力を身につけるまでにかなり時間がかかりました。
語学留学→現地採用→アメリカで起業と、試行錯誤の連続。
今は“地球のどこか”で、同じように悩む大人の英語学習をサポートしています。
2025年には英検準1級(1か月準備)に合格。世界遺産検定4級も取得。
好きなワインはジンファンデル。血液型はA型です。
現在は、第三か国語としてトルコ語もゆるく学習中です。

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