英語学習者の皆さん、こんにちは!
皆さんは、洋画を観ていて「あれ?この英語、なんだか聞きとりづらいな」と感じたことはありませんか?
実は、「英語」と一言で言っても、話されている国や地域によって発音は千差万別なんです。特に、イギリス英語とアメリカ英語の「アクセント」(=発音の訛り)の違いに戸惑う方は多いかもしれませんね。
でも実は、さらに奥深いことに、アメリカ国内だけでも、地域によって英語の発音には驚くほど多様なアクセントが存在するんです。
今回は、2010年に公開されたド派手なアクション映画**『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』を題材に、そんなアメリカ英語の奥深さを紐解いていきたいと思います。
この映画、実は登場人物たちの会話を聞き比べてみると、まさにアメリカ英語のアクセントの「ショーケース」と言えるほど、個性豊かな話し方がオンパレードなんです!
普段、何気なく観ている映画も、少し視点を変えるだけで最高の英語学習教材になります。さあ、あなたも『A-TEAM』の世界に飛び込んで、英語の発音の面白さを一緒に発見しませんか?
ワンポイント解説:日本語と英語の「アクセント」の違い
まず初めに、多くの日本人学習者が混同しがちな「アクセント」という言葉について、少し補足しておきましょう。
日本語で「アクセント」というと、「デパート」の「パ」を強く言ったり、「エレベーター」の「エ」を強く言ったりするように、単語の中の特定の音節を**「強く発音する」**ことを指すことが多いですよね。
しかし、英語でいう**「accent(アクセント)」は、特定の地域や国に住む人々が話す、独特の「訛り」や「なまり」、つまり発音のパセージ全体の特徴を指します。一方、日本語の「アクセント」が指すような、単語の中の特定の音節を強く発音する「強弱」のことは、英語では「stress(ストレス)」**と言います。
💡Accent と Dialect の違い
Accent(アクセント)とDialect(ダイアレクト)はどちらも言語の地域差を表す言葉ですが、指す範囲が異なります。
Accent(アクセント)
Accent は、主に発音の違いに焦点を当てたものです。同じ言語を話す人々の間で、地域や社会集団によって見られる単語や音節の具体的な発音の仕方、音の高低、リズム、イントネーションのパターンを指します。
例えば、アメリカ英語とイギリス英語では同じ単語でも発音が異なったり、アメリカ国内でも南部と北部で特徴的な話し方がありますよね。これは「アクセントの違い」です。
Dialect(ダイアレクト)
Dialect は、特定の地域や社会集団に固有の言語のバリエーション全体を指します。これには、単なる発音の違い(アクセント)だけでなく、以下の要素も含まれます。
- 語彙(Vocabulary): 特定の地域でしか使われない単語や表現。
- 例: イギリス英語の「lift」(エレベーター)とアメリカ英語の「elevator」。
- 文法(Grammar): 標準的な言語とは異なる文の構造や動詞の活用。
- 例: アメリカ南部英語で使われる「y’all」(you allの短縮形)。
- 発音(Pronunciation): これがAccentにあたります。
つまり、Dialect は Accent を含む、より広範な概念です。あるDialectを持つ人々は、共通のAccentを持つことになります。
Q:たまに日本語でも字幕がないとわかんないってレベルがdialectってこと?
A:日本語における方言(dialect)は、単なるイントネーションや発音の違い(これは英語のaccentに近い)だけでなく、語彙(使う単語)や文法、表現方法が標準語と大きく異なる場合があり、それが原因で「字幕がないと理解できない」レベルになることがあります。
たとえば、津軽弁や沖縄方言(うちなーぐち)などは、標準語を話す人にとっては、単語の意味が分からなかったり、文の構造が異なったりするため、初めて聞くと全く理解できない、まるで外国語のように聞こえることがあります。
これはまさに、英語の「dialect」がカバーする範囲(発音、語彙、文法など言語全体の特徴)と重なります。
映画『A-TEAM』とは?その魅力と背景
では、映画**『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』**がどのような作品なのかを簡単にご紹介します。
この映画は、1980年代に世界中で大ヒットした人気テレビドラマ『特攻野郎Aチーム』を映画化した作品です。イラク戦争で活躍したアメリカ陸軍の特殊部隊「Aチーム」のメンバーが、無実の罪を着せられ、軍から追われながらも、持ち前のスキルと連携で巨大な陰謀に立ち向かっていく姿を、ド派手なアクションとユーモアを交えて描いています。
チームのメンバーそれぞれが強烈な個性を持ち、息の合った(時にぶつかり合う)チームワークで不可能を可能にする展開が最大の魅力。オリジナルドラマを知らない方でも、純粋にエンターテイメントとして楽しめる痛快なアクション映画です。
主要キャラクターのアクセントを分析!
映画に登場する主要キャラクターたちの話し方から、アメリカ英語の代表的なアクセントを見ていきましょう。彼らの個性的な英語を聞き分けるのは、きっと楽しいリスニング練習になりますよ。
1. “ハンニバル” リーアム・ニーソン(アイルランド訛りが香るアメリカ英語)
チームのリーダーであるハンニバルを演じるのは、名優リーアム・ニーソン。彼の役柄はアメリカ人という設定でアメリカ英語を話していますが、実は彼は北アイルランド出身。そのため、注意深く聞くと、彼本来のアイルランド訛りがごくわずかに感じられることがあります。
多くの英語学習者が最初にイメージする「標準的なアメリカ英語」とは少し違う響きがあるかもしれません。
アイルランド英語は、独特のイントネーションや母音の発音が特徴で、イギリス英語ともアメリカ英語とも異なる魅力があります。彼のセリフに耳を傾けて、アイルランド英語の片鱗を感じ取ってみるのも面白いでしょう。
2. “フェイス” ブラッドリー・クーパー(標準アメリカ英語)
チームの詐欺師であるフェイスを演じるブラッドリー・クーパーは、比較的**「標準的なアメリカ英語(General American)」**に近い発音をしています。これは、アメリカのメディアや教育で広く使われる、地域色の少ないアクセントです。
彼のクリアで聞き取りやすい発音は、英語学習者にとって非常に参考になるはず。まずは彼のような話し方を目指してみるのもいいかもしれませんね。
3. “マードック” シャルト・コプリー(テキサス訛り)
チームのクレイジーなパイロット、マードックを演じるシャルト・コプリーの話し方は、非常に顕著なテキサス訛りです。母音の引き伸ばしや独特のイントネーションが耳に残ります。彼の奇抜なキャラクターと、どこかとぼけたような話し方が、見事にマッチしていますよね。
実はシャルト・コプリー自身は南アフリカ出身。このテキサス訛りは、オーディションの際に彼が**「オリジナルのマードックのイメージを踏襲しつつ、よりクレイジーで面白いキャラクターにするため」**と自ら提案し、作り上げたものなんです。監督も彼のこのアプローチを大いに気に入り、「彼の想像力は尽きることがない」と絶賛したとか。役作りのために発音までこだわり抜く俳優の情熱が、マードックの強烈な個性を生み出したんですね。
4. “B.A.” クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン(アフリカ系アメリカ人の英語 / 都市部のアクセント)
そして、強面ながらも根は優しいB.A.を演じるクイントン・“ランペイジ”・ジャクソンは、アフリカ系アメリカ人の英語(AAVE: African American Vernacular English)、特に都市部で見られるような話し方が特徴的です。
独特のリズムやイントネーションがあり、スラングや発音の省略など、力強く響く英語を話します。これは、特定のコミュニティや文化に根ざした言語の特徴をよく示しています。
「Vernacular(ヴァナキュラー)」を簡単に言えば「その土地や文化に根ざした、日常的・固有の」といった意味合いを持つ言葉です。文脈によって、言語なのか、それとも他の様式や文化的な要素を指すのかが変わってきます。
- その土地固有の言語や方言、日常語
これは、特定の地域やコミュニティで話されているその土地固有の言語や方言、あるいは日常的に使われるくだけた言葉を指します。学術的な言葉や公式な場での言葉ではなく、人々が普段の生活で自然に使う言葉といったニュアンスです。
上記の「African American Vernacular English (AAVE)」は、アフリカ系アメリカ人のコミュニティで話される英語の多様な変種を指し、この場合の「Vernacular」がこの意味で使われています。
- その土地固有の、または伝統的な様式
建築や芸術、文化などの分野で使われる場合、その土地や文化に固有の、伝統的な様式や特徴を指します。外部の影響を受けていない、土着的なものを表現する際に用いられます。
たとえば、「vernacular architecture」といえば、その地域の気候や利用可能な材料、文化的な慣習に基づいて建てられた伝統的な建築様式を意味します。

ということは「Local」の類義語か…、と思った方へ。
大正解!めちゃめちゃ優しく言うと、まさに「Local(ローカル)」に近いニュアンスです。
ただし、「Local」が単に「その地域にある」とか「地元の」という意味合いなのに対して、「Vernacular」はもう少し深く、**「その地域やコミュニティに古くから根付いている、日常的に使われる、独自の(しばしば非標準的な)特徴を持つ」**というニュアンスを含みます。
例えば、
- Local restaurant(地元のレストラン): その地域にあるレストラン全般を指す。
- Vernacular architecture(地域の在来建築): その地域の気候や文化、入手可能な材料に基づいて、長い時間をかけて培われた独自の建築様式を指す。
「African American Vernacular English」の場合は、「アフリカ系アメリカ人のコミュニティで、日常的に自然発生的に使われ、その文化に根付いた、独自の英語の形」というような意味合いになります。単に「Local English」と言うと、「その地域で話されている英語」というだけで、独自の言語学的特徴や文化的背景まで示すニュわけではありません。
なので、「Local」に近いけれど、より**「その土地固有の、日常的で、独特の特徴を持った」**という深みがある、と考えると分かりやすいかと思います。
なぜ『A-TEAM』は英語学習に最適なのか?
このように『A-TEAM』は、エンターテイメントとして楽しめるだけでなく、多様なアメリカ英語のアクセントを一挙に聞けるという点で、非常に優れた英語学習教材となり得ます。
- リスニング力の向上: 様々なアクセントを聞き分ける練習になります。
- 文化理解の深化: アクセントからキャラクターの背景や個性を推測する楽しさも味わえます。
- 発音の練習(任意): 好きなキャラクターのセリフを真似て、特定の発音に挑戦することもできます。

会話のスピードも速く、作戦や状況説明が比喩的表現も交えながら進んでいくので字幕無しだと中上級者寄りでしょう。
スラングや少々不適切なやり取りに興味がある方、アクション映画が好きな方におすすめ。
こちらから視聴可能です。
まとめ:いろんな洋画を見て英語学習しよう!
イギリス英語とアメリカ英語の違いに加えて、アメリカ国内にも豊かなアクセントのバリエーションがあることを知ることは、あなたの英語学習をより深く、より楽しいものにしてくれるはずです。
『A-TEAM』のように、洋画には生の英語が詰まっています。今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ様々な映画やドラマを観て、登場人物たちの話し方に耳を傾けてみてください。
そして、映画で学んだ多様なアクセントで、実際の英会話を試してみるのもおすすめです。
例えば、DMM英会話なら、世界130カ国以上の講師とレッスンが可能です。標準的なアメリカ英語はもちろん、イギリス英語、アイルランド英語、さらにはアフリカ英語やアジア英語など、本当に様々なアクセントに触れることができますよ。
ぜひ、DMM英会話で色々な国の講師と会話を楽しみながら、映画で発見したアクセントの違いを実際に体験してみてください。きっと新しい発見があるはずですよ!
それでは、Happy English Learning! 🎬✨