「何度聞いても、スクリプトを見ても、どうやってもそんな風に聞こえない…」
そう感じたことはありませんか?
教材のCDやダウンロードした音源をを何回も聞き返したり、海外ドラマを字幕なしで見てみたり。ポッドキャストを毎日聞くように頑張ってみたり…。
そうやって一生懸命に英語の音を聞き続けているのに、どうしてもリスニング力が上がらない。その原因は、もしかすると「あなたの耳が悪い」からではないかもしれません。
ネイティブスピーカーの英語が、まるで違う言語のように聞こえるのには、明確な「音のルール」が存在するからです。
今回の記事では、このリスニングの壁を打ち破るための鍵、「音声変化」の6つのルールを徹底的に解説します。これらのルールを知ることで、そういうことだったのか!という気づきが得られ、あなたがこれまでに「聞き取れない」と諦めていた音が、実は正しく聞き取れるようになるかもしれません。
さあ、あなたのリスニング学習を根本から変える、新しい一歩を踏み出しましょう。
音声変化の6つのルールを深掘り解説
ここからは、あなたがこれまで「聞き取れない」と感じていた音の正体、6つの音声変化のルールを一つずつ見ていきましょう。
1. リンキング(Linking):音の連結
これは、単語の最後の音と、次の単語の最初の音が繋がって発音される現象です。まるで単語と単語の間に、音の橋が架けられるようなイメージです。
例えば、
check it out
は、「チェク・イット・アウト」と区切って発音するのではなく、チェキラ(ダ)ウ
のように一続きの音になります。take off
も同様にテイコフ
のように聞こえます。
このルールを知らないと、聞き取れるはずの単語も、音の連結によって「知らない単語」のように聞こえてしまうのです。
2. アシミレーション(Assimilation):音が溶け合う同化
連続する2つの音が、互いに影響し合って別の音に変化する現象です。音が混ざり合って、元の音とは違う新しい音になります。
代表的な例は、t
やd
の後にy
の音が続く場合です。
don't you
は、ドン・ト・ユー
ではなくドンチュー
would you
は、ウッド・ユー
ではなくウッジュ
と発音されます。この変化は、特に日常会話で頻繁に起こります。
3. フラッピング(Flapping):弾ける「T」の音
t
やd
の音が、特定の条件で日本語の「ラ行」に近い音になる現象です。これは特に、アメリカ英語で顕著に見られます。
water
はウォーラー
party
はパーリー
better
はベラー
のように聞こえます。母音に挟まれたt
やd
が、舌を弾くように発音されるため、この名前がついています。
4. エリジョン(Elision):音が消える魔法
連続する音の一部が、発音されずに脱落する現象です。単語の音が全て発音されるわけではない、ということを理解することが重要です。
next day
は、ネクスト・デイ
ではなく、間のt
が消えてネクスデイ
cup of tea
は、カッ・プ・オブ・ティー
ではなく、オブ
のo
が脱落してカパティー
のように発音されます。不要な音を省略することで、よりスムーズに話すための仕組みです。
5. ウィークニング(Weakening):弱く、短くなる音
冠詞(a, the)や助動詞(can, have)など、文の意味を補助する機能語が弱く発音される現象です。これらは文の主役ではないため、強く発音されることはほとんどありません。
例えば、
can
は、強調したい時以外はキャン
ではなくクン
のような音になります。for
は、フォア
ではなくファ
のように聞こえます。
この弱形を知らないと、聞こえる音と自分が知っている単語が一致しない、という混乱が起こります。
6. ネイザル・リリース(Nasal Release):鼻にかかる音の解放
鼻音(m
, n
)の後に破裂音(t
, d
, k
, g
など)が続く際、口を使わずに鼻から音を出す現象です。
例えば、button
はバットン
ではなく、最後のt
の音が鼻から抜けるように バッン
のように聞こえます。口を閉じずに、鼻から息を抜くようなイメージです。
これらのルールを「知識」として知ることは、リスニング力向上の第一歩です。しかし、本当に聞き取れるようになるためには、この知識を「感覚」に落とし込む必要があります。
次は、これらのルールを身につけるための具体的なトレーニング方法を見ていきましょう。
音声変化を克服するためのトレーニング法
音声変化のルールを頭で理解しただけでは、リスニング力は向上しません。大切なのは、それを「耳」と「口」を使って体得することです。ここでは、音声変化に特化した効果的な学習法を紹介します。
1. シャドーイング(Shadowing)
聞こえてきた英語の音声を、0.5秒〜1秒遅れで影(シャドー)のように追いかけて発音する練習法です。ただ真似るのではなく、音声変化が起きている部分を特に意識して、ネイティブと同じように発音することを目指します。
- ポイント: 最初はスクリプトを見ながらでもOK。慣れてきたら、スクリプトなしで挑戦してみましょう。
2. ディクテーション(Dictation)
聞こえてきた音声をそのまま書き取る練習です。自分がどのように聞こえているかを客観的に把握できるため、聞き取れなかった部分が、どの音声変化によって起こっているのかを特定するのに役立ちます。
- ポイント: 聞き取れなかった単語を無理に推測せず、そのまま空欄にしておきましょう。答え合わせの際に、なぜ聞き取れなかったのか(例:「want to」が「wanna」になっていた、など)を分析することが重要です。
3. オーバーラッピング(Overlapping)
スクリプトを見ながら、ネイティブの音声にぴったりと重ねて発音する練習法です。スクリプトがあるため、発音のタイミングや音の連結を視覚的に確認しながら練習できます。
- ポイント: リズムやイントネーションもネイティブに近づけるよう意識しましょう。
とりしまの考察

これらの音声変化のルールを知っているか知らないかで、「what are you doing?」がどうやってもワットアーユードゥーイングに聞こえないと悩まなくて済みます。なぜならネイティブはそう言っていない(発音していない)からです。
実践練習でシャドーイングから紹介しましたが、初心者さんは無理に言えなくても大丈夫ではあります。ただ、こういう風に聞こえるんだぞ、というのを知っておくだけで理解度はかなりアップするでしょう。発音の仕方をマスターするとあなたの英語は自然に聞こえ、相手の理解度も上がります。とはいえ、母語のアクセントが出ても全く問題はありません。
とりしま的にオススメできるのは英語でのカラオケ、つまり歌をオーバーラッピングするということです。好きな歌を選んで挑戦してみましょう。好きな歌が速い場合は再生速度が変えられるアプリを使ってみるといいです。現場で耳がいい、発音が自然な生徒さんは洋楽に興味のある人が多い傾向があります。もちろんそのために洋楽を好きになれ、とは言っているのでなく、スクリプトでの実践練習に飽きたら歌を歌ってみる、というスタンスで取り入れてみてはいかかですか?
本記事で挙げた6つのルールは基本ルールです。しかしながら個人個人の母音を発音が微妙に異なったりしてくるので、しっかりと耳は鍛えたいものです。
おすすめの学習ツールアプリ
これらのトレーニングを効果的に行うための、便利な学習ツールを2つご紹介します。
AI添削で音声変化を可視化する「TORAbit(トラビット)」
英語コーチングで有名なトライズが提供する、シャドーイングと瞬間英作文に特化したアプリです。最大の特徴は、AIによる無制限の添削機能。あなたが発音した英語をAIが採点し、どの単語とどの単語が連結しているか、音が弱くなっているかといった音声変化を視覚的に表示してくれます。
6ステップの学習法で、音声変化を「知る」だけでなく「使える」ようにするトレーニングが可能です。
- 料金: 1ヶ月プラン3,280円(税込)〜。7日間の無料体験もあります。

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まとめ:音声変化を制覇し、リスニングを次のレベルへ
「聞き取れないのは自分の耳がおかしいからではないか?」という不安は、もう感じる必要はありません。あなたがこれまで悩んでいた音は、**「知らなかった音のルール」**によって生まれていたのです。
今日から「聞く量」だけでなく、「音のルール」を意識しながら学習することで、あなたのリスニング力は飛躍的に向上するはずです。
音声変化の知識と、今日紹介したトレーニングを組み合わせて、ぜひあなたのリスニング学習を変革してください。