11月になると、海外ニュースやSNSでよく見かける “Black Friday”。もともとはアメリカの感謝祭(Thanksgiving Day)の翌日にあたる金曜日のことです。
しかし近年では、10月下旬から11月初旬にかけて「先行セール」を始める企業も増え、「ブラックフライデー=1日限定セール」ではなく、“秋の大型セールシーズン”として定着しつつあります。
この変化は、英語圏の文化や商習慣がグローバル化とデジタル化でどう進化しているかを知る、まさに生きた教材のようなものです。
この記事では、Black Fridayの意味・由来・歴史的背景・英語での説明方法を、英語学習者にもわかりやすく解説します。
ブラックフライデーとは?意味と起源
ブラックフライデーはいつ?
Black Friday(ブラックフライデー)は、感謝祭(Thanksgiving Day:11月の第4木曜日)の翌日にあたる金曜日です。この日は、アメリカではクリスマス商戦のスタートを告げる日として知られています。街中の店舗が大幅な割引を行い、多くの人々が朝早くから買い物に繰り出します。

大型ショッピングセンターやアウトレットモールでは駐車場は大混雑、前々日からテントを張って待つ人もいます。
とりしまも以前鍋セットが欲しくて2時間駐車場を待って、無事購入、10キロ越えの鍋セットを抱えて遠くにパーキングした車に戻り、駐車場を出るのに1時間かかった、という思い出があります。But it was worth it!
“Black” の意味は?
「Black Friday」の“Black”は、黒字(in the black)という表現に由来します。もともと小売業者がこの日に赤字(in the red)から黒字(in the black)へ転じるほど売上が増えることから、“Black Friday=黒字の金曜日”と呼ばれるようになりました。
感謝祭(Thanksgiving)と日付のポイント

よくある勘違い:「第3木曜日」ではありません
感謝祭は「11月の第3木曜日」と思われがちですが、正しくは「11月の第4木曜日」です。アメリカ議会が1941年に法律で正式に定め、現在もこの日が全国的な祝日となっています。
- 2025年のThanksgiving(感謝祭):11月27日(木)
- 2025年のBlack Friday:11月28日(金)
豆知識:昔は州によって感謝祭の日付がバラバラでしたが、第二次世界大戦中に「全国で統一しよう」という流れが生まれ、現在の形になりました。
感謝祭の日付はなぜ変わった?歴史的な経緯
実は、感謝祭はずっと同じ日だったわけではありません。歴史の中で日付が動いています。
1. リンカーン大統領時代(1863年)
南北戦争の最中、エイブラハム・リンカーン大統領が「11月の最後の木曜日」を国民の感謝の日と定めました。これが全国レベルの感謝祭の始まりです。
2. ルーズベルト大統領の変更(1939〜1941年)
世界恐慌後の景気回復をねらい、フランクリン・D・ルーズベルト大統領はクリスマス商戦を長くするために、感謝祭を1週間早めて「11月の第3木曜日」にしようとしました。
しかし、州ごとに従う日付が分かれ、「どっちの木曜日で休むの?」という大混乱に。これは皮肉をこめて「フランクスギビング(Franksgiving)」と呼ばれました。
最終的に、1941年にアメリカ議会が法案を可決し、感謝祭は「11月の第4木曜日」として固定されました。現在の形はここで確定したものです。
この経緯があるため、「感謝祭って第3木曜日じゃなかった?」という記憶は、実はこの時代の名残なんですね。
世界のサンクスギビング事情

アメリカ以外でも、アメリカ式のThanksgivingを祝う国、あるいは「収穫への感謝」という似た考え方をお祝いする国があります。共通しているのは、自然の恵み・働く人への感謝・家族で集まる時間というテーマです。
アメリカ式のThanksgivingを祝う国
| 国名 | 日付 | 特徴 |
|---|---|---|
| カナダ | 10月の第2月曜日 | 収穫を祝う意味合いが強く、アメリカより約1か月早い。 |
| ブラジル | 11月の第4木曜日 | アメリカの文化に倣い、Dia de Ação de Graçasとして感謝の意を表す行事が行われることがある。 |
| リベリア | 11月の第1木曜日 | アメリカから帰還した元奴隷たちが持ち込んだ伝統。アメリカにルーツを持つ「感謝の日」。 |
| グレナダ | 10月25日 | 1983年のアメリカ軍介入後の安定に対する「感謝」の意味で祝われる。 |
| ノーフォーク島(オーストラリア領) | 11月の最終水曜日 | 捕鯨船の船員が持ち込んだアメリカの感謝祭文化が起源とされる。 |
「収穫への感謝」という意味で似た祝日がある国
名前は「Thanksgiving」ではなくても、考え方はとても近い祝日もあります。
| 国名 | 祝日の名前 | 日付(目安) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ドイツ | Erntedankfest(エルンテダンクフェスト) | 10月の第1日曜日 | 「収穫感謝祭」。宗教色が強く、教会での式典が中心。 |
| 韓国 | 秋夕(チュソク) | 旧暦8月15日(9月中旬〜10月初旬) | 祖先に感謝し、収穫を祝う韓国の代表的な大型連休。 |
| 日本 | 勤労感謝の日 | 11月23日 | もとは新嘗祭(にいなめさい)が起源。労働と実りをたたえる日。 |
| イギリス | Harvest Festival | 9月下旬〜10月上旬 | 教会などで食べ物の恵みに感謝する伝統的な行事。国民の祝日ではない。 |
こうして見ると、世界のさまざまな地域で「恵みに感謝する日」「家族が集まる日」があることがわかります。Thanksgivingはアメリカだけの行事ではなく、価値観としては世界共通なんです。

人種のるつぼ、移民大国のアメリカでの祝日は、なかなかにセンシティブな意味合いを持ちかねないのですが、サンクスギビングは宗教や人種に関係なくみんなでお祝いできる「平和な」お休みとして扱われる傾向があります。
ブラックフライデーは今どう変わっている?
近年はオンラインショッピングの普及により、10月下旬からブラックフライデー先行セールを始める動きが一般的になっています。これは、店舗の混雑を避けたいお客さんのニーズや、物流を分散したい企業側の事情が背景にあります。
その結果、Black Fridayはもはや「金曜だけのイベント」ではなく、数週間続くセールシーズンへと進化しました。
“Black Friday used to be just one day, but now the sales start weeks earlier.”
(ブラックフライデーは昔は1日だけだったが、今では数週間前からセールが始まる。)
この変化は、アメリカ国内だけでなく、他国にも広がっています。今やブラックフライデーは「アメリカの文化行事」から「グローバルな年末商戦の合図」になりました。
世界に広がるブラックフライデー
ブラックフライデーは現在、カナダ・イギリス・オーストラリア・日本など幅広い地域で行われています。多くの大手オンラインショップや小売チェーンがこの時期に合わせて大規模なセールを行い、「世界同時ショッピングイベント」と言われるほどになりました。
また、感謝祭の翌週の月曜日にはCyber Monday(サイバーマンデー)と呼ばれるオンライン限定セールも行われ、11月下旬は「一年で最も買い物が活発な期間」として定着しています。

とりしまが今滞在しているトルコ🇹🇷でも、この波に乗っかって11月から大規模なセールが行われています。
英語で使えるブラックフライデーフレーズ集
| シチュエーション | 英語表現 | 日本語訳 |
|---|---|---|
| セールを告知するとき | Black Friday Sale starts now! | ブラックフライデーセール、ついにスタート! |
| 驚きを表すとき | These deals are crazy! | 価格が信じられない! |
| 予定を話すとき | I’m waiting for the Black Friday discounts. | ブラックフライデーの割引を待ってるんだ。 |
| SNSでの投稿 | Can’t resist the Black Friday offers! | このセール、我慢できない! |
| オンライン限定を強調 | Shop online for Cyber Monday deals! | サイバーマンデー限定のセールをオンラインでチェック! |
感謝祭とブラックフライデーはセットで見よう
感謝祭が「家族や友人と過ごす日」なら、ブラックフライデーは「贈り物の準備が始まる日」。この2日間はセットでホリデーシーズンのスタートを意味します。
さらに最近では、ブラックフライデー後の数日間にも意味がつけられています。
- Small Business Saturday:地元の小さなお店を応援する土曜日
- Cyber Monday:オンライン限定セールが集中する月曜日
- Giving Tuesday:寄付やボランティアを通じて社会に「お返し」をする火曜日
つまり、ただ「安いから買う日」ではなく、買う・応援する・社会に還元するという価値観まで含めて、11月末〜12月にかけてのアメリカの年末文化が形づくられています。
理解度チェック(クイズで復習)
ここまで読んだあなたなら、きっとブラックフライデーの背景も英語の表現もかなり整理できているはず。
では早速、内容をしっかり定着させるためにクイズでチェックしてみましょう!
気になる選択肢をクリックして、最後に「答え合わせする」ボタンを押すと、すぐに結果と解説が表示されます。 …
英語でブラックフライデーを説明してみよう
英語学習者としては、文化を説明できるようになると大きな強みになります。次の3文は丸ごと暗記してOKレベルです。
Black Friday is the day after Thanksgiving. It’s known as the biggest shopping day of the year, when many stores offer huge discounts. The name “Black Friday” comes from the idea that stores go from “in the red” to “in the black.”
この説明は「いつ」「どんな日」「なぜブラックなのか」まで入っているので、会話でも英作文でも使えます。
まとめ
ブラックフライデーは単なるセールではありません。アメリカの歴史・文化・経済・そして「感謝して贈る」という価値観が詰まったイベントです。
今では10月下旬から始まる「長めのセールシーズン」として世界中に広がり、オンラインショッピング文化とも結びついています。
英語を「暗記科目」にせず、こうした背景ごと理解していくと、海外ニュースやSNSの英語が一気に身近になります。
次に英会話で “Do you go shopping on Black Friday?” と聞かれたら、単に「Yes / No」で終わらずに、あなたの考えも添えて話してみましょう。それはもう立派な国際トークです。
ちなみに、当サイトの「お得な情報」カテゴリでは、英語学習関連のブラックフライデーや期間限定キャンペーンも随時紹介しています。
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