USCPA の選択科目に ISC(Information Systems and Controls)があります。
名前を聞いた瞬間に、多くの受験生がこう思います。
- 「IT の科目でしょ?難しそう…」
- 「プログラミングとか出るのかな?」
- 「IT 知識ゼロなんだけど大丈夫?」
結論からお伝えすると、
ISCは、会計専門家が「デジタル環境におけるリスクと統制」を評価するための科目です。
IT初心者でも、むしろ必須科目 AUD(監査)の知識を活かせる人ほど有利になります。
ISC は必須科目 AUD の延長線上にある位置づけであり、
監査・内部統制の内容を「現代のデジタル環境」に適用・検証するための知識を扱います。
つまり ISC は、
IT ガバナンス × 監査 × リスク
を理解する会計専門家を育てる科目です。
そして今、世界中でこのスキルセットを持つ人材の価値が急上昇しています。
クラウド化、DX(デジタルトランスフォーメーション)、個人情報保護法規制強化により、IT に明るい CPA はどこへ行っても引っ張りだこの状況です。
この記事では、次のポイントを一つずつ解説します。
- ISCはどんな科目なのか
- どんなIT知識が必要で、どこまで不要なのか
- IT初心者向けの学習方法
- SOC・GRCとのつながり
- ISCを選ぶメリット
- BAR/TCPとの違い
- 未申込の人向けの予備校選びの基準
- キャリアの広がり
- なぜアビタスの説明会が有効なのか
いわば、ISCの「保存版ガイド」としてまとめました。
この記事ひとつで、ISCの全体像がつかめるはずです。
USCPA ISCとは?概念と役割を分かりやすく解説
ISC(Information Systems and Controls)は、
情報システム、データガバナンス、セキュリティ、内部統制を
監査人の視点から評価するための専門科目
です。
USCPA の新試験制度では、ISC は AUD の延長線上にある科目として設計されています。
ISCが誤解されやすいポイント
多くの受験生が ISC を「エンジニア科目」と誤解しますが、実際には以下のような内容は出題されません。
- プログラミングの実技
- ネットワーク構築
- ソースコードの読解
- サーバー構築
- データベースの運用実務
- ペネトレーションテスト(侵入テスト)の手法
ISCは、こうした「作る側の技術」を扱うのではなく、
あくまで CPA として “評価・統制する側” を学ぶ科目です。
ISCが扱う領域(全体像)
ISCで要求されるのは、ITセキュリティや運用の専門知識そのものではなく、リスクベースアプローチに基づいた統制評価の視点です。
大きく分けると、次の3つの領域で構成されています。
- ITガバナンスとリスク管理
(COSO、COBIT、NIST、GDPR、HIPAA など) - セキュリティ・プライバシー・統制の評価
(アクセス管理、暗号化、クラウドリスク、外注統制など) - SOC(System and Organization Controls)監査
(SOC1、SOC2、Trust Services Criteria)
特に SOC 監査は ISC の試験配分が 15〜25% と高く、
ISC合格者の多くが「SOC監査 → IT監査 → GRC」という強いキャリアパスを築いています。
ISCはIT初心者でも大丈夫?必要な知識と不要な知識を比較
まず、多くの人が一番気にしているポイントがこちらです。
「IT詳しくないけど、ついていける?」
結論から言うと、IT初心者でも十分に対応可能です。
むしろ、ISCはIT初心者にも対応できるように設計されています。
その理由は、ISCがエンジニアの実装スキルを評価しているわけではないからです。
求められているのは、
- システムやデータの仕組みの理解
- そこに潜むリスクと、それに対する統制を評価する視点
この2点です。
ISCが求める知識 vs 求めない知識(比較表)
| ISCで求められる知識 | ISCで求められない知識(エンジニア領域) |
|---|---|
| 情報システムの構造理解(黒箱レベル) | コーディング、プログラミング |
| データガバナンスの概念 | SQLの実装・システム開発 |
| IT統制の種類と仕組み | 侵入テスト(ペンテスト)の実技 |
| リスクと統制の因果ペア | ネットワーク設計 |
| セキュリティ概念の区分(機密性・完全性など) | ハードウェア構築 |
ISCの本質は、
「ITを理解できる会計士になること」であって、
「技術者になること」ではありません。
ISC試験が求めるスキルレベル
ISCはブルームの教育目標分類法に基づいており、試験は次のバランスで構成されています。
| スキル | 出題割合 | 具体的に求められること |
|---|---|---|
| 知識・理解 | 55〜65% | フレームワークの意味・構造、概念の理解 |
| 応用 | 20〜30% | リスク → 統制の因果ペアで、最も適切な統制を選択する力 |
| 分析 | 10〜20% | 文脈(クラウド/外注/ERP)に応じて、妥当な判断を行う力 |
数値だけを見ると「知識・理解」が多く見えますが、
合格の決め手になるのは「応用」と「分析」です。
ISCは「丸暗記で受かる科目」ではありません。
重要なのは、ケースごとに最適な統制を選び取る“判断力”です。
ISCとキャリアの関係|SOC・GRCの強さ
ISCの最大の魅力は、
現代企業で需要が急増している専門領域と直結していることです。
1. SOC(System and Organization Controls)監査
SOCレポートには主に次の2つがあります。
- SOC1:財務報告に関連する内部統制にフォーカスしたレポート
- SOC2:Security, Availability, Processing Integrity, Confidentiality, Privacy の5要素(Trust Services Criteria)を対象とするレポート
特に SOC2 は、
- SaaS
- フィンテック
- クラウドサービス
- データセンター
など、サービスの信頼性がビジネスの生命線になる業界で欠かせない存在になっています。
SOC監査は、サービス提供者が「適切な統制を設計・運用しているか」を第三者視点で保証するものであり、ISCではこのSOC業務の全体像(計画・実行・報告)を学びます。

ISCを学ぶことは、「会計士としての監査能力」を、
最も高付加価値な成長分野に直結させることに近いイメージです。
2. GRC(Governance, Risk, Compliance)
ISCでは、次のようなフレームワークを扱います。
- COBIT:ITガバナンスのフレームワーク
- NIST CSF/プライバシーフレームワーク:サイバーセキュリティ/プライバシーの基準
- COSO ERM:エンタープライズリスクマネジメント全般
これらはすべて、**GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)**と呼ばれる領域でよく使われる基準です。
GRCは、
- 経営とリスク管理をつなぐ役割
- 規制対応や内部統制の高度化
- グローバル企業での共通言語
として、世界中で採用が進んでいます。
ISCはGRCを理解するための「基礎教養」として非常に相性が良く、
GRC領域のキャリアを目指す人にとって、ISCは格好の入り口になります。
3. 内部監査・システム監査・データガバナンス
ISCの内容は、次のような実務と直結しています。
- J-SOXにおけるIT全般統制・業務処理統制の理解
- システム監査・IT監査
- ERP導入/クラウド移行プロジェクトにおける統制検討
- 個人情報保護・プライバシー対応
- 情報セキュリティ委員会やリスク管理委員会での検討事項
ISCで学んだ知識だけでも、
内部監査・システム監査・リスク管理ポジションの選考で有利になるケースは十分に考えられます。
ISCが合う人・合わない人
ISCが「向いている」人
次のような人には、ISCは非常に相性のよい科目です。
- AUD(監査)が比較的得意
- 監査・内部統制・リスク管理のキャリアに興味がある
- 状況に応じて考えるのが好き(ケーススタディが苦にならない)
- SOC/GRC/IT監査といったキーワードに惹かれる
- 将来、海外や外資系企業でIT×会計のキャリアを築きたい
ISCが「向いていない」人
一方で、次のようなタイプだと少し苦労するかもしれません。
- 暗記だけで一気に走り抜けたい
- 「とにかく計算問題がしたい」タイプ
- IT概念そのものにまったく興味がわかない
- フレームワークの意味や背景を考えるのが苦手
ISCは「理解して判断する」タイプの科目なので、
“とりあえず用語を詰め込むだけ”という勉強スタイルとは相性がよくありません。
学習時間の目安とロードマップ
IT初心者の場合
- 目安学習時間:210〜270時間
会計のバックグラウンドはあるがITはゼロ、という人の場合、
概念理解と応用問題の反復を踏まえると、この程度が一つの目安になります。
ITの基礎理解がある場合
- 目安学習時間:180時間前後
情報システム部門の経験がある、ITパスポート等である程度用語に慣れている、という場合は、やや短縮できることも多いです。
学習ロードマップ(例)
- フレームワークの意味を理解する
- COSO → COBIT → NIST の順で「何を目的とした枠組みなのか」を押さえる
- IT統制の種類と仕組みを理解する
- 全般統制/アプリケーション統制、アクセス管理、変更管理など
- クラウド・外注・ERP のリスク特性を理解する
- オンプレと何が違うのか、どこに追加のリスクが生じるのか
- SOC1/SOC2 の違いを押さえる
- 対象とするリスク(財務報告 vs セキュリティなど)と報告書の位置づけ
- リスク↔統制の「因果ペア」訓練
- 典型的なリスクに対して、どの統制が最も有効かをセットで覚える
- 文脈に応じた判断問題で慣れる
- クラウド/外注/ERP/多拠点など、状況ごとにベストな統制が変わることに慣れる
ISCは、学ぶ順番を間違えると理解がバラバラになりやすい科目でもあります。
そのため、「どの順番で何を押さえるか」が非常に重要です。
予備校選びの失敗が ISC の得点に直結する理由
ISCは、次のような内容を理解する必要があります。
- フレームワークの背景(なぜその構造なのか)
- 専門用語の意味
- 文脈に応じた判断
- リスクと統制の因果関係
これらをテキストだけで独学するのは、かなり大変です。
だからこそ、講師がどのように説明してくれるかが決定的に重要になります。
- 図解でイメージを掴ませてくれるか
- 現場でありそうな実務例で説明してくれるか
- 「試験用の理解」と「実務での意味」をセットで語ってくれるか
こうした違いが、理解スピードを2〜3倍変えることも珍しくありません。
特に ISC のような「概念+応用」が中心の科目では、
予備校と講師の相性が点数に直結すると言っても過言ではありません。
アビタスが ISC で強いと言える理由
まだどの予備校にも申し込んでおらず、「どこにするか迷っている」という段階なら、
ISCを検討している人ほど、最初の一校選びが非常に重要です。
ここでは、ISCを学ぶ前提で見たときに、アビタスを選ぶメリットを3点にまとめます。

1. IT初心者向けの教材設計が秀逸
アビタスの教材は、
- エンジニア向けではなく、「会計士が理解すべきIT」にフォーカス
- フレームワークの図解が豊富で、イメージが掴みやすい
- リスクと統制の因果ペアが体系的に整理されている
という特徴があります。
ITが苦手な人ほど、「最初の一冊」「最初の解説」が大事になりますが、
アビタスはまさにその部分の設計が丁寧です。
2. ISC・AUDの親和性を踏まえた解説
ISCの理解を深めるには、AUDの基礎が欠かせません。
アビタスは AUD → ISC の流れが分かりやすく、
監査的な考え方をそのまま IT統制に応用しやすい形でカリキュラムが作られています。
3. 無料説明会だけでも「選択科目のモヤモヤ」が晴れる
アビタスの無料説明会では、最新の試験傾向や構造を踏まえた上で、
- BARとの違い
- TCPとの違い
- ISCで伸びるキャリアパス
- 自分のバックグラウンドならどの科目が最適か
といった点を、かなり具体的に説明してくれます。
説明会を一度聞くだけで、
「自分はこの科目を選ぶのが良さそうだ」
と腹落ちする人も多く、
選択科目の迷いを解消する場としても非常に有効です。

その他リスキリング支援や一般教育訓練制度の利用方法なども尋ねることができます。
キャンペーンも行われていることがあるので、受講料を節約するチャンス!
受講料は安くないですが、海外からも受講者も多く、信頼のある予備校です。
説明会の前に資料に目を通すと説明かの解像度が爆上がり!
まとめ|ISCは“ITが苦手な人ほど伸びる科目”
最後に、この記事のポイントを整理します。
- ISCはエンジニア向けの技術科目ではない
- 必要なのは ITの仕組み理解と統制判断力
- AUDの延長線上にあり、監査が得意な人は有利
- SOC・GRC・IT監査といった成長領域と直結している
- IT初心者でも、正しい順序で学べば十分に合格できる
- 予備校と講師の選び方が、理解と得点に直結する
そして何よりも、
ISCは、「ITが苦手だった会計系人材」が一気に伸びる科目です。
ISCを学ぶことで、
- 監査人としての視野
- リスク判断力
- デジタル統制への理解
- 実務への適用力
- キャリアとしての市場価値
これらが、今の時代に合った形にアップデートされていきます。
最後に:ISCが気になっているなら、まずは一度「話を聞いてみる」
もし今、
- 「ISCに興味はあるけど、不安も大きい」
- 「IT知識ゼロから本当にいけるのか知りたい」
- 「BAR・TCPとどれを選ぶべきか迷っている」
という状態であれば、
学習を始める前の段階で方向性を決めてしまうことが、最も大きな時間節約になります。
その意味でも、まずは一度、アビタスの無料説明会で
- ISCの位置づけ
- 自分のキャリアとの相性
- 学習ロードマップ
を確認してみるのがおすすめです。
後悔しない選択科目を決めるためにも、
一度「プロの目線」で話を聞いてから決める。
そのひと手間が、これからの数百時間の学習効率を大きく左右してくれます。


