眠る犬の映像に添えられた一言、「sleep peacefully」。
ふわっとした優しい言葉のはずなのに、どこか胸がざわつきました。
それもそのはず――この表現、英語圏では「永遠の眠り」を意味することもあるのです。
「sleep peacefully」に感じる“違和感”の正体

YouTubeやSNSで、可愛い動物がすやすや眠っている動画。
そこに表示される「Sleep peacefully.」という一言。
一見すると、優しくて温かいフレーズに思えます。
ですが、英語圏の文化や言語感覚では、この言葉にある特別な意味が重なって聞こえることがあります。
それは、「永遠の眠り」を意味する追悼表現としての「sleep peacefully」です。
たとえば、亡くなった人に向けてこんなふうに使われます:
May she sleep peacefully.(彼女が安らかに眠れますように)
He is now sleeping peacefully.(彼は今、安らかに眠っています)
こうした表現は、英語圏では「Rest in peace(R.I.P.)」と並んで、
お悔やみの言葉としてよく使われています。
でも実は「すやすや眠る」という意味もある

「sleep peacefully」=“亡くなった人に向けた表現”という印象が強いですが、
実はこのフレーズ、文字通りの意味でもきちんと使われています。
つまり、「静かに」「ぐっすり」「安心して」眠っている状態を表す、
とてもやさしい言葉なのです。
たとえば、こんな使い方は完全に日常表現です。
- The baby is sleeping peacefully in her crib.
(赤ちゃんはベビーベッドですやすや眠っている)- He slept peacefully through the night.
(彼は一晩中ぐっすり眠った)
ポイントは、こうした文のように状況や主語が明確な場合、
「死」とは結びつかず、ただの“よい眠り”として自然に伝わること。
つまり、「sleep peacefully」は決してNG表現ではありません。
使い方と文脈次第で、ちゃんと“やさしい眠り”を表現できるのです。
要注意!「sleep peacefully」が誤解を招くケース(“非ネイティブあるある”バージョン)
「sleep peacefully」は“すやすや眠る”という意味でも使えますが、
使いどころを間違えると、「なんでその表現を選んだんだろう?」とネイティブに思われてしまうケースがあります。
とくにありがちなのが、非ネイティブあるあるのパターン👇
- 一言だけ「Sleep peacefully.」とテロップで出す
- 映っているのは寝ているペットや人
- 雰囲気が静かでしんみりしている
こんな状況で「Sleep peacefully.」が表示されると、
ネイティブスピーカーは「亡くなったのかな?」とまでは思わなくても、
**「あれ、この人、もしかして“R.I.P.”っぽい意味で使ってる?」**とちょっとした違和感を覚えます。
これは、「Sleep peacefully.」という命令形が、
追悼メッセージやお悔やみの言葉として定番のフレーズでもあるからです。
つまり、文法的には正しくても、
“響き”がズレてしまうことで、「英語は合ってるのに何か変」に聞こえる。
これぞまさに、**非ネイティブがやりがちな“意味のズレ”**なんです。

日本語でもジョークで『安らかにお眠りください』と今から寝る人や眠っている人に言っちゃったりする感覚になってしまう、ということです。
「すやすや」感を伝えるならこの表現

では、「Sleep peacefully.」がちょっと微妙なら、
ペットや赤ちゃんの“すやすや感”を英語で伝えるにはどう言えばいいの?
安心して!ネイティブがよく使う自然な表現がちゃんとあります👇
✅ sleeping peacefully(進行形で安心感)
- The puppy is sleeping peacefully on the couch.
→ 子犬がソファですやすや眠っている
進行形にすることで、「今まさに気持ちよく寝ている」という臨場感と安心感が生まれます。
短く「Sleep peacefully.」とするより、ぐっと柔らかい印象になります。
✅ sleep tight(カジュアルなおやすみ表現)
- Good night. Sleep tight!
→ おやすみ、ぐっすり寝てね!
「しっかり寝てね」「ぐっすりおやすみ」などの意味で、
家族や恋人、子どもなどに向けて使われるあたたかくてポジティブな表現です。
ペットにもぴったり🐾
✅ sleeping soundly(ぐっすり眠っている)
- He’s sleeping soundly through the noise.
→ 騒音の中でもぐっすり眠っている
「音に気づかないほどよく眠ってる」=深い眠りを表すときにぴったり。
静けさというよりは、眠りの“深さ”を表現したいときに◎。
✅ having a nap / taking a nap(お昼寝)
- The cat is having a nap by the window.
→ 猫が窓辺でお昼寝中
ゆるっとしたリラックス感を伝えるにはこちらもおすすめ。
ほかにも「dozing off(うとうとしてる)」「snoozing(こっくりこっくり)」なんて表現もあります。
こうした表現を使えば、
「この子、今気持ちよさそうに寝てるんだな〜」っていう雰囲気が
英語でも自然に、誤解なく伝わります。
まとめ:英語表現は「意味」だけじゃなく「響き」も大事
英語を学んでいると、つい「この単語の意味はこれ」「この文法は正しい」と、“正解”を探すクセがつきがちです。
でも実際の英語コミュニケーションでは、
それ以上に大切なのが――その言葉がどう“響く”か。
「sleep peacefully」はまさにその代表例です。
文法的にも、語彙的にも、使い方としては“正しい”。
だけど、言葉の響きや空気感が、思わぬニュアンスを生んでしまうことがあります。
ネイティブにとっては、「Sleep peacefully.」という短い命令文が
“追悼のメッセージ”のように聞こえることもあれば、
一方で進行形にすれば「すやすや眠ってるだけ」に聞こえることもある。
つまり、英語は意味 × 文脈 × 響きの3点セットで伝わる言語なんです。
だからこそ、学習者としては
- 「伝えたいこと」にぴったりの表現を選ぶ
- その表現がどう響くかを意識する
ことが、より自然で、伝わる英語への第一歩になります。
ちょっとした言い回しの違いで、
優しい気持ちがより自然に届くようになる――
そんな英語を、これからも一緒に磨いていきましょう。
画像や動画を見ながら単語が学べるので
ネイティブがどう使っているか同時に分かる!