USCPA(米国公認会計士)を目指すと決めた瞬間、必ずぶつかる最初の壁が「出願州をどこにするか問題」。
検索しても情報がバラバラで、州ごとに要件が違うし、ライセンス(USCPA登録)の条件も別にあるし、正直こんがらがる…。
しかもUSCPAはアメリカの試験。
その割に、日本国内のキャリアアップ目的の人が多い。
「じゃあ外資系狙う場合は、その会社の本社州に合わせた方がいいの?」
「アメリカで働く予定がないならどこでもいい?」
「合格しやすい州とか、逆に避けるべき難関州ってあるの?」
こんな疑問が一気に押し寄せてきて、スタート地点で迷子になりがちです。
そこで本記事では、出願州選びの基準が一発で理解できるように、“絶対に見るべきポイント2つ” に絞って整理します。
本題に入る前に:州選びで見るべき基準はたった2つ
出願州を選ぶときに複雑そうに見えても、実は考える基準は以下の2つだけです。
1. 受験資格をどれだけ早く満たせるか
USCPAは全米統一試験なので、どの州でも試験内容と難易度は同じです。
違うのは 受験資格。
つまり「その州の条件をクリアすれば受験できるかどうか」。
州によって必要な単位数・科目指定・学位要件が違うため、
自分の学歴で最速で受験できる州はどこか
を見極めるのがファーストステップになります。
「受験資格の話をもう一度確認したい」という読者がいることを踏まえつつ、ここでは深掘りしません。この記事はあくまでも“州選び”の記事なので、詳細は別の受験資格解説記事への導線でカバーできます。
2. ライセンス(USCPA登録)をどこで取りやすいか
試験の合格だけでは「USCPA」と名乗ることはできず、州ごとのライセンス登録が必要です。
この登録にも、
・必要単位数
・実務経験の種類
・米国在住要件
など州ごとの条件があり、ここがまたバラバラ。
そのため、
「どの州なら自分のキャリアプランや学歴に合うライセンス要件なのか」
を見ておくことが大切になります。
■リマインダー:なぜこの2点だけ見ればいいのか
読者の中には、
「結局“出願州”ってそんなに大事なの?」
と感じている人も多いはず。
しかし、実際に迷うポイントはほぼこの2つに集約されます。
✔ 受験資格が合わないと、そもそも試験を受けられない
✔ ライセンス要件を知らないまま受験すると、後で遠回りになることがある
そしてUSCPA受験制度は複雑に見えますが、
「受験資格」→「受験」→「(必要なら)ライセンス取得」
の3段階に分けて考えると、芋づる式に整理できます。
この記事は「州選びの迷い」を解消するための特化記事です。
受験資格そのものの詳細は、すでに別の記事でがっつり解説しているはずなので、ここでは軽いリマインダー程度にとどめています。
この記事を書いた人

当ブログ運営者のとりしまはUSCPAを持っていません。しかし取得に挑戦した人をアメリカはもちろん日本ででも数人知っています。
彼らはとても優秀な方々で、キャリアもすごい。
中には物腰の柔らかい穏やかな人もいますが、裏ではものすごい頑張り屋さんというのも知っています。
そんな彼が一体どんな経緯でUSCPAを取得したか興味を持ち、調べ始めると、学習内容はもちろん、とにかく受験資格をクリアしていくスタートラインがものすごく複雑だということが判明しました。
とりしま自身も別案件で日本からの単位のトランスファー、他州から他州へのライセンスのトランスファーを経験したので、非常にややこしいプロセスなのは知っています。ですからこれからUSCPAを目指す方々に、少しでもわかりやすく噛み砕いた情報をお届けできれば、と思っています。
新制度改正が近年ありましたし、手続きなども変更もあるかもしれません。
詳しい最新情報は予備校の無料説明会や相談会に申し込むのが一番です。
というのも、やはり受験者一人一人状況やニーズが異なるからです。
ご自身でリサーチされてもいいと思いますが、かなり複雑なのでプロにお話を伺った方が効率的かとも思います。
ではここから本題:よくある質問を1つずつ深掘り
上記2点を前提にしたうえで、読者が最も迷いやすい以下の質問を、順番にわかりやすくひも解いていきます。
- おすすめの出願州はどこ?
- 合格しやすい州・難関州は本当に存在する?
- アメリカ勤務を考えていない場合、どの州を選べばいい?
- 外資系企業に転職したい場合、本社所在州に合わせるべき?
- ライセンス取得を目指すなら、どの州が有利?
- アラスカ州・モンタナ州・ワシントン州・グアム州の特徴まとめ
- 受験に強い州とライセンスに強い州の組み合わせ戦略とは?
おすすめの出願州はどこ?(まずは“受験資格”から考える)
ここからは、読者の疑問にそのまま答える形で整理していきます。
まずは 最速で受験資格を満たしやすい州 から見ていきましょう。
● 最速で受験可能になる州:アラスカ州
USCPA受験において、アラスカ州は日本人にとって 学歴要件がシンプル で、受験資格ラインに最速で到達しやすい州のひとつとして知られています。
アラスカ州の特徴(受験資格)
- 4年制大学卒業(学士号)が必要
- 会計15単位のみで受験可能(指定科目なし)
つまり、日本の大学を出ていて簿記系の単位が少ない場合でも、
予備校の単位認定試験でまとめて取得できるため、
「まず受験資格を取りたい」という人にとって進めやすいルートです。
● 学位がない人の最短ルート:モンタナ州
高卒・短大卒・専門卒の人は、アラスカ州では学位要件を満たせません。
その場合は モンタナ州 という選択肢が挙がります。
モンタナ州のポイント
- 学位要件がない(ただしライセンス取得時には学位が必要)
- 必要単位は別途取得でカバー可能
先に受験資格を満たして試験合格を優先したい人に向いています。
ただし、後からライセンスを取る場合は「学位+150単位」の壁があるため、ライセンス取得を視野に入れるなら要注意ポイント。
● 資格の学校TAC推奨州として挙がりやすい候補
複数予備校が取り扱いに慣れている州として、
- アラスカ州
- ニューヨーク州
- モンタナ州
- ワシントン州
- グアム
が挙げられることが多いです。
ただし「予備校が推している=最適」という意味ではなく、
サポート実績が多く情報が豊富なため、迷いにくい という利点があります。
合格しやすい州・難関州ってあるの?
結論:
試験内容・難易度・合格率は、全州で完全に同じです。
これはUSCPAが「全米統一試験」であるため。
ハワイで受けようが、ニューヨークで受けようが、問題は同じです。
では「難易度が高い」と言われる理由は?
● 州ごとの“受験資格の厳しさ”が誤解を生む
州によって「受験資格のハードル」が大きく違うため、
つい “受験資格が厳しい州=試験も難しい” と感じてしまいがちです。
ですが、実際には 試験問題は全州まったく同じ なので、
受験資格の厳しさは“試験の難易度”とは関係しません。
むしろ、違いが出るのは 受験できるまでのスピード。
- 単位数や指定科目が細かく決まっている州は、受験資格を満たすまでに時間がかかりやすい
- 条件がシンプルな州は、早く出願できる
という“事務手続き上の違い”があるだけです。
このため、受験資格が厳しい州が“難関”と言われることがありますが、
それはあくまで 出願までのプロセスが複雑なだけ。
試験本体の難しさと混同しないことがポイントです。
例)
- アラスカ州:会計15単位で受験OK
- グアム州:総取得単位120、Upper Divisionの会計24単位、ビジネス24単位など細かい指定あり
この違いが「グアムは難関では?」という誤解につながりますが、
試験自体はどの州でも同じなので安心してください。
アメリカ勤務を考えていない場合の州選び
日本でのキャリアアップ目的の人は、
まず とにかく受験資格を最速で満たす という基準で選ぶのが一般的です。
- QUSCPAは取得したいけど、アメリカ勤務は考えていない場合は?
- A
アラスカ州(4大卒・早く受験したい人)、モンタナ州(学位がない人)
この2州に落ち着くことが多いです。
「最短で受験 → 全科目合格 → 転職活動」という流れが、
日本国内の外資系・監査法人・コンサル志望者に適した型になりやすいためです。
- Q外資系企業を狙う場合、本社の所在州に合わせるべき?
- A
本社所在州=出願州 にする必要はありません。
ここが誤解ポイント!
例えば:
- 外資系企業Aの本社がニューヨーク
- だから出願州もニューヨークにしなきゃ?
→ 必要ありません。
理由は3つ:
- 試験内容は全州で同じ
- 本社州でライセンスを取る義務はない
- 外資系企業の採用は「どの州で出願したか」を気にしていない
採用側が見るのは、
「USCPA試験合格」または「USCPAライセンス保持」 の事実のみです。
ライセンス(USCPA登録)を取りやすい州はどこ?
ここからは、試験合格後の話。
名刺に「USCPA」と書くにはライセンスが必要です。
州によって要件がまったく異なるため、
「登録しやすい州」は自然と限られてきます。
● ライセンス取得向け:ワシントン州
特徴:
- 実務経験の幅が広い
- 監査法人以外(一般企業の経理など)でも経験として認められる
- 150単位要件はある
「日本で働きながらライセンスを取りたい」人に向いています。
● 実務経験なしで肩書きがほしい:グアム州(Inactive)
グアム州には、
実務経験が不要の “Inactiveライセンス” があります。
すぐに監査業務ができるわけではありませんが、
名刺に「USCPA(Inactive)」と表記できるメリットがあります。
実務経験を積めば、後からActiveに変更も可能です。
■受験に強い州 × ライセンスに強い州 の組み合わせ戦略
多くの日本人が採用しているのがこのスタイル:
【王道ルート】
- アラスカ州で受験 → 合格実績ゲット
- 合格後、
- ワシントン州でライセンス
- グアム州でライセンス(Inactive)
のいずれかを目指す
受験しやすさとライセンス要件は別物なので、
州を分けてしまうのが合理的です。
州の特徴がひと目でわかる比較表
▼ 主な州の「受験資格 × ライセンス要件」まとめをわかりやすく表にしてみました。
| 州名 | 受験資格の満たしやすさ | ライセンス要件 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| アラスカ州 | ◎ 会計15単位でOK | 平均レベル | 最速で受験したい |
| モンタナ州 | ◯ 学位不要 | 要件はやや重め | 学位がない人 |
| ワシントン州 | △ 受験は普通 | ◎ 実務経験の幅が広い | 日本でライセンスを取りたい |
| グアム州 | △ 受験資格はやや重い | ◎ Inactive取得可 | 実務なしで肩書きが欲しい |
| ニューヨーク州 | × 要件が厳しい | × 米国在住要件あり | 基本おすすめされにくい |
まとめ:出願州選びは「受験」と「ライセンス」を分けて考える
出願州の選び方は、一見複雑に見えるものの、
以下の2軸さえ押さえれば迷わない というのが全体の結論です。
✔ 受験資格をどれだけ早く満たせるか
✔ ライセンスをどこで取りやすいか
そして、多くの日本人が使う戦略はシンプル。
【受験】アラスカ州 → 【ライセンス】ワシントン州 or グアム州
USCPAの出願州選びは、あなたのキャリアの「羅針盤」を設定するようなものです。
転職先の企業の所在地ではなく、あなたの学歴と、最終的にライセンスを取得するかどうか(そしてその容易さ)という手続き上の観点から選ぶことが、合格への最短距離につながります。
応援してます!!



